堺市環境事業部環境事業管理課
2024年9月
目次
1.はじめに
2.研修の構成
3.ワークショップ(基礎研修(第2回))について
4.ステップアップ研修(図上演習)の実施
5.おわりに
1. はじめに
堺市では、「堺市災害廃棄物処理計画(平成29年3月策定。令和4年3月一部改定)」の内容について、平常時から市職員・事業者等に周知するとともに、発災時に本計画が有効に活用されるよう、市職員に加えて関係者・専門家等も交えた研修を平成29年度から実施しています。
平成30年には、台風第21号の被害を受け、災害廃棄物に係る電話対応、清掃工場での自己搬入の受け入れ、災害廃棄物の収集などの対応に追われました。平常時にあらかじめ必要な想定を行い、発災時にスムーズに災害廃棄物処理に取り組むために、組織の災害対応力を高めていくことが必要だと再認識しました。
2. 研修の構成
従来は、基礎研修(座学・ワークショップ)→ステップアップ研修(図上演習)という2段階構成で実施してきましたが、前年度研修の受講者から、もう少し災害廃棄物処理の基礎や堺市災害廃棄物処理計画に関する基本的なことを事前に学習しておきたかったという声があがったため、開催7年目となる令和5年度は、新たにクイズ形式の研修を導入し、従来の研修と組み合わせることで、災害廃棄物処理の基礎知識から実践的な能力までの習得を図る内容としました。
(1)令和5年度の研修
(2)研修で導入したクイズの一例
3.ワークショップ(基礎研修(第2回))について
(1)目的
○ 災害廃棄物対策の初動期を中心に、各班の業務の内容と流れ、役割分担について確認する。
○ 各班どうしの業務の関連性を理解し、連携が必要な事項について具体的に整理する。
○ 災害廃棄物対策について、時間軸でイメージすることで、担当者及び組織の業務と課題に関する「気づき」を得る。
(2)タイムスケジュール
タイムスケジュール
研修の様子(1)
研修の様子(2)
研修の様子(3)
4.ステップアップ研修(図上演習)の実施
(1)概要
1)想定する災害とその被害想定
2)図上演習で想定する発災からの経過
3)スケジュール
4)使用した状況付与の内容(一部抜粋)
(2)研修の設計、工夫した点
- 研修のシナリオ(状況付与)には、実際に職員が直面しそうな少しイレギュラーな内容も盛り込み、また、実際の災害では堺市内部で完結しないような状況がたくさん生じると思われるので、そういった部分にも目を向けられるような状況付与も加えました。
- 半日だと訓練の進め方を理解するだけで終わってしまうこと、昨年度の研修でもいくつかの状況付与が出されたが、時間不足でうまく対応できなかったので、実際どう対応するのが正しかったのかというその後のフィードバックを参加者に返す時間を設けるため、1日かけて理解を深めながら取り組むことができるように研修を設計しました。
- 状況付与を受け取った班は、班内で情報を共有し、必要に応じて他班との協議・調整、関係機関や団体等(コントローラー)への問合せなどを行いながら、発信元への対応を繰り返していく形で研修を進行しました。
- 図上演習の最後に、「発災後 10 日間」という時点を想定し、環境対策部長への報告という形で、災害廃棄物処理に関する対応の進捗状況や方針等、加えて最も苦労した・困った状況付与とその対応について模造紙にまとめ、各班による発表を行いました。また、必要に応じて、発表内容に関する質疑応答や有識者からの助言も行われました。
- 図上演習のグループ発表終了後、訓練での体験を参加者の所属組織にフィードバックすることを目的に、体験の意味を改めて理解するプロセスとして各班で振り返りを行いました。各班にはコントローラーやファシリテーターも入り、対応が分からなかったところや新たな気づき等について各自振り返りシートに記入し、グループ内で発表、議論を行いました。
(3)ステップアップ研修の振り返り
ステップアップ研修の振り返り(1)
ステップアップ研修の振り返り(2)
ステップアップ研修の振り返り(3)
5.おわりに
研修の総評では、環境事業部長から「今回の研修で学んだことを各所属へ持ち帰って共有することで、組織全体としての意識を高めていただきたい。頻発する自然災害に迅速に対応できるよう、皆さんが各課の中心となり、率先して災害廃棄物対策に取り組んでいただくようお願いする。」との話がありました。
3つの段階を踏むことで、職員個々の災害廃棄物対策に関する理解度と意識の向上に加え、災害時には各班、庁内各部署が連携して取り組むことの重要性の認識を深める効果も大きいと考えられます。
災害はいつ起きるかわからないので、毎年このような研修を継続して参りたいと思っています。