野口真道(のぐちまさみち)
熱海市 市民生活部協働環境課 環境センター 主査(静岡県出身)
(2024/7/31掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
令和3年7月に発生した熱海市伊豆山土石流災害の対応として、当時は仮置場の設置を主に担当しました。また、令和4年度からは公費解体の発注、現場担当として携わりました。
発災以前には熱海市災害廃棄物処理計画の策定にも携わりました。
もっとも強く印象に残ったこと
当初、通常の災害と同じように仮置場の設置を行いましたが、今回の災害が土石流災害であり土砂混じりのガレキであったこと、被災地が急傾斜地であること、被災地が災害対策基本法により立入禁止区域となったことなどから、被災者の方々が被災家屋の片付けなどができない状況が長期に渡ったことにより、仮置場への片付けごみが当初は殆どなかったことが印象的でした。このため仮置場へのガレキの搬入は土砂選別から発生したガレキや被災地からのガレキがメインとなりました。
また、本災害の発生原因が不確定であったこと等から、被災者の心情が複雑化したことで、よりきめ細やかな対応が求められました。特に公費解体事業においては、被災者や直接被災はしなかったものの、影響を受けたご近所の方々とお会いする機会が多く、皆さんそれぞれの想いや考えをお持ちで、信頼関係を構築していくことに時間を要したのがとても大変でした。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
災害廃棄物事業の約90%以上が完了したことから、災害廃棄物処理計画の改定を今後行い、今回経験した災害も踏襲し、バージョンアップさせたいと思います。
また、環境省が行っている災害廃棄物処理支援員制度(人材バンク)に登録したことから、令和6年1月には、能登半島地震において珠洲市から派遣要請を受けて公費解体業務の補助に入りました。今後についても大規模災害が起こらないことを祈りつつも、災害があった際には、被災地へ赴き、僅かながら復旧復興のお手伝いができたらと思っております。
災害情報対策に関してほしい情報、共有したい情報
災害の種類は多岐にわたり、本市が被害を受けた土砂災害の他に台風、豪雨、地震、津波など様々です。災害の種類によって対応が変わるものもあり、災害廃棄物の発生状況や種類も異なってきます。こういった各種災害に応じた情報を集約し、災害を経験した方々からの貴重な意見や反省点などを共有化し、早期の復旧復興に繋げられるような仕組みづくりがこの災害廃棄物情報プラットフォームなどを通じてより効率化できたらいいなと思います。
また、内閣府が統括するISUT(災害時情報集約支援チーム)による情報サイトISUTサイトの活用も災害時には利活用できるものなので、広く周知していただきたいと思います。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
当市が被害を受けるまでは、災害廃棄物処理はどこか他人事のように思っていたところが正直な思いでした。しかしながら、いざ当事者となった場合、様々な予期せぬ事態が多く発生し、混乱をしてしまいました。そんな中、当市では全国初の人材バンク制度を利用し、多大なる支援を受け、事務的な支援はもちろん、一番は精神的な安心感を得ることができました。今後、いただいた恩を今度は自分がお返しできるように努めていきたいと思うとともに、災害廃棄物処理に携わった皆さんに可能な限り人材バンクへの登録をお願いしたいと思います。
当市被災後、多くの方々からの多大なる御支援をいただき、ありがとうございました。