平時の対策を知る連携・啓発Pre-disaster preparedness actions 平時にどのような災害廃棄物対策を進めるべきかを知る

災害ごみ福岡市民ワークショップ 「災害ごみについて考えよう!」

 

災害廃棄物情報プラットフォーム編集部

福岡市民ワークショップ_01

2024年5月

目次

はじめに

1.講演

2.ワークショップ

3.アンケート

おわりに

はじめに

 災害復興を進めるには行政のリーダーシップが欠かせませんが、迅速かつ的確な災害廃棄物処理のためには住民との連携や協働が重要となります。しかし、災害廃棄物は住民になじみが薄いうえ、住民が分別・搬出するには苦労が伴います。そこで、廃棄物資源循環学会九州支部市民フォーラム部会は、住民を対象として、災害時の的確な行動につなげるための情報共有や意見交換の機会としてワークショップを企画・開催しました。

概要
日 時:令和6年2月17日(土曜日) 10時~12時
場 所:福浜公民館 2階 講堂
参加者:福浜校区地域リ-ダー及び一般住民 28名 スタッフ等22名
オブザーバー:福岡市
主 催:廃棄物資源循環学会九州支部 市民フォーラム部会
共 催:西部3Rステーション・福浜公民館

福岡市民ワークショップ _10

福岡市民ワークショップ「災害ごみについて考えよう」プログラム

 

福岡市民ワークショップ_02

会場の様子(1)

福岡市民ワークショップ_03

会場の様子(2)

1.講演

 災害ごみの収集運搬の経験から、住民向けに以下のお願いがありました。

  • 災害ごみを出す場所を確認しておく(平時に確認、周知)
  • 災害時のごみの出し方を理解しておく(平時から学べる場を作る)
  • ごみの収集時に分別しながら作業をするのは、手間と時間を要するので、何でも混ぜて一緒に出さない・置かない
  • 被災エリアからごみを迅速に運び出すためには、市民(被災者)やボランティアの協力が必要(ボランティアの方にもごみの出し方を理解してもらう)
  • 自治会・市民⇔行政の連携が不可欠(平時から情報を相互に共有しておく)

 また、分別する必要性について、臭気・害虫や火災発生の防止、できるだけリサイクルする必要があるため分別が必要であること、腐敗しやすいものを優先的に収集するため分別が必要であること等が伝えられました。

2.ワークショップ

 参加者は7グループに分かれ、廃棄物資源循環学会九州支部市民フォーラム部会と西部3Rステーションのメンバーがファシリテーターを務めてワークショップを進行しました。

福岡市民ワークショップ_04

ワークショップの様子(1)

福岡市民ワークショップ_05

ワークショップの様子(2)

福岡市民ワークショップ_06

ワークショップの様子(3)

 

一次仮置場はどこかな

 福岡市の災害ごみの一次仮置場候補地として街区公園の一覧が公開されており、その中から近い場所を地図で確認しました。しかし、地域は高層住宅が多く高齢化も進んでおり、大型のごみは運搬できないなどの意見があり、高速道路の下のスペースは運搬も搬出もしやすくてよいという、地域の住民ならではの意見が出てきました。

 

災害ごみ分別ゲーム

 福岡市の災害廃棄物処理計画では一次仮置場で4区分に分けることとされており、一次仮置場を模したシート上に災害ごみのカードを置いていく災害ごみ分別ゲームを実施しました。灯油が入ったポリタンクやスプレー缶など中身が入った危険物は一次仮置場へ出してはいけないが、中身のないポリタンクは可燃物に分類したり、空き缶はごみステーションに出すことになっています。

 

福岡市民ワークショップ_07

災害ごみカード

サンプル画像2

一次仮置場を模したシート

 

災害ごみについて話し合おう

 各グループで話し合った内容を発表し、共有しました。

<災害ごみの出し方・運搬>

・高齢者が多いため、自分で持っていくのは難しい。高層棟は、エレベーターが止まったら階段では運搬が不可能。自治会を中心に連絡を取り合って、下ろすほかない。

・車両がないため仮置場が遠いと持っていけない。

・泥にまみれたものは重いため、運び方を工夫する必要がある。

・ボランティアに早めに来ていただきたい。

・高層住宅の棟ごとに場所を決めておきたい。グラウンドを使ったらどうか。高速道路の下は雨に濡れにくくていいと思う。

・福岡県西方沖地震(平成17年3月20日Mw7.0)を体験しており、それを思い出しながら話し合った。地震が収まった後、各棟のごみ置場は生ごみと不燃物、粗大ごみにわける。ごみが一斉に出されるとよくないため、階ごとに日時を決めて、出してもらう。停電や被害でエレベーターが止まるため、高齢者宅へ誰が行くかを決めて助け合う。ごみを集めた後は、広いグラウンドを仮置場としてボランティアの助けを得て移動する。

・地震、高潮、津波などで浸水すると置場がなくなる。災害種類ごとに出し方が違うため考えておく必要がある。

・今日参加していない人も多いため、災害ごみについて知らない人が多く、災害時に動けない人が多いのではないか。

<平時にできること>

・不要なものはふだん処分しておく。

・非常時に持ち出すものが古くなっていないか、確認しておくことも大事。

・家具の固定をしておく。

・災害時にどういう状況か、という情報が必要になる。そのためのラジオ、携帯電話の充電器も充電しておき乾電池の備えも必要。

・混合ごみになったら後が大変になるため、ふだんから分別について啓発しておくことが大事。

・ごみ分別の看板を事前に用意しているといい。それを誰が管理するかを決めておくことも大事。

福岡市民ワークショップ_09

グループのまとめの例(1)

福岡市民ワークショップ_10

グループのまとめの例(2)

福岡市民ワークショップ_11

グループのまとめの例(3)

3.アンケート

 アンケートの感想に以下がありました。

・初めてワークショップに参加して大変わかりやすかったです。

・知っていると知らないとでは、災害の前後を全く違った意識で過ごすと感じました。もっと多くの地域、年代でこのワークショップが開催されたら嬉しいです。

・イベントに参加していない人への情報伝達が重要!

・住民の方の様々な意見を聞くことができ、問題が明らかになりました。一人一人が自覚すべき問題だと思いました。

・校区自治会で協力できる方(ボランティア)を考える。

・高齢者が多いと一人では対応が難しいので、周りの協力が必須になることがよく解った。

・外国人も増えてきており、ふだんのコミュニケーションを含めて難しくなっていることが足かせにならないかという不安もある。

・学会や自治体、地域が協力してワークショップのような普及啓発が出来たらよいと思います。

おわりに

 公民館の声掛けにより多数の住民が集まり、地図を見ながら話し合ったことで、地域をよく知っている住民ならではの意見も多く、自分事として捉えられて学びの多い場となりました。災害時の協力の必要性やワークショップに参加していない人へどう伝えるかが課題とされ、意見交換の継続が期待できる雰囲気で終えられました。

 

 

災害ごみ分別ゲーム協力:倉敷市

スマートフォン用ページで見る