関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】宮脇健太郎(みやわきけんたろう)氏

宮脇健太郎(みやわきけんたろう)

明星大学理工学部 教授(東京都出身)                                

(2023/8/31掲載)

リレー寄稿_大峰 聖

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災からちょうど1年経過したときに仮置き場調査に同行したことや、がれき(災害廃棄物)の広域処理にかかわったことがきっかけです。広域処理として全国自治体の焼却施設で可燃物の処理が行われ、私は、複数自治体で処理安全性についての説明などの協力をしました。

もっとも強く印象に残ったこと

 石巻の仮置場の状況を見た時の圧倒的な量に唖然としたこと、福島沿岸部の状況を見たときのつらい気持ちは忘れることができません。また、本来、震災、津波で災害廃棄物が発生した場合、全国で協力して迅速に資源化、処理ができたはずでしたが、放射性物質が付着したための問題が大きくなり、国民の不安を招いたことは技術者として大変胸の痛い思いでした。処理の安全性を説明する機会にも、強い不安を持たれた市民の方々の意見を伺い、技術者としてどこまでのことができるのかと無力感も体験しました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 近年は近隣自治体の災害廃棄物基本計画策定のお手伝いなどを行っています。近年、震災だけでなく風水害も多くなり、水害での災害廃棄物対応にかかわる部分の改訂などが始まっています。水害は特に局所的な地域特性もあるため、大学の所在地である多摩地区を中心に微力ですがお手伝いを継続したいと考えています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 事前の対策として情報(例えば仮置き場の設置、搬入方法など)を市民に伝える努力を各自治体では行って欲しいと考えています。常に最新の計画、情報を周知し、発災後早い時期に災害廃棄物の集約ができるようにしていただきたいと思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物の処理は概ね3年という計画が立てられます。しかし、仮置き場周辺など生活環境への影響は物理的なことだけでなく、心理的にも市民に大きな負担を強いることになります。極力迅速な復旧ができる計画を策定できるように各自治体で準備し、市民に寄り添う気持ちを大事にして欲しいと思います。人中心の視点で皆が活動することが必要です。

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