関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】竹本啓助(たけもとけいすけ)

竹本啓助(たけもとけいすけ)

熊本市 環境局 資源循環部 環境施設課 技術参事 (熊本県出身)
(2022/12/27掲載)

リレー寄稿_竹本啓助

災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成28年熊本地震の際に被災自治体職員として災害時廃棄物の現場を初めて体験しました。その後、思いがけず環境省の災害廃棄物対策室に1年間在籍することとなり、その際に平成30年西日本豪雨の災害廃棄物対応等を通じて、民学官問わず様々な方と交流を持ちました。その御縁で以降の災害でも現地支援のお声がけを頂くようになり、様々な支援を経験させてもらいました。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害の規模や種別により対応は千差万別ですが、いろんな自治体の被災現場にお邪魔する度に感じることは、廃棄物部門の立場の弱さと、片付けごみ問題が顕在化した際の体制強化の遅れです。近頃は災害時の片付けごみ問題の重大性も認識されつつありますが、発災時はどうしても避難所運営や道路啓開にリソースが割かれ、片付けごみ対策は後回しとなり、気付けばそこら中に混合廃棄物の山が形成され、対処が困難になる場面を数多く目の当たりにしてきました。当然、人命や市民生活が優先されるべき業務ですので、発災初期は後手とならざるを得ない部分もあるのですが、初動のつまずきが生活再建の大幅な遅れに直結し、結局、長期間に渡って復旧の足を引っ張ることになってしまいます。今般のコロナ禍でどの自治体でも緊急の衛生保健体制強化が行われている様に、災害時には早急かつ機械的に廃棄物部門の体制強化が図られることが当たり前となれば理想的であり、そのような認識が広がっていくことを期待しています。

 一方、全国的な支援の機運も高まりつつあり、近年は発災直後から近隣自治体や民間による収集運搬支援や事務支援も活発に実施されているように見受けられます。先を全く見通せない不安の中で、経験者が相談役としてそばにいてもらえる事はとても心強いものと想像します。不幸にも災害廃棄物対応を体験してしまった方におかれては、進んで被災自治体に入り込んで支援に当たっていただき、さらなる知見を得て自らの対応力を向上させるとともに、新たな経験者へも惜しみなく技術を伝えてもらえると幸いです。この支援のリレーがどんどん広がっていくことで、来るべきより大規模な災害への対応力を日本全体で高めていければと心より願っています。

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