坂町役場 総務課 課長 西谷 伸治
2022年12月
目次
- 人材バンク登録のきっかけ(自己紹介)
- 北広島町への支援内容(令和3年8月の大雨)
○災害廃棄物処理事業の全庁的な周知
○災害廃棄物の迅速で適正な処理
○公費解体・費用償還制度の説明
○その他事業との整合性
○災害等廃棄物処理事業報告書作成のフォロー
○査定時の留意点を説明 - 支援にあたって大切なこと
○受援先のニーズの把握 - 支援時に留意したこと
- 受援先の反応
- 支援の成果
- 受援と支援を経験してみての気づき
- 人材バンク制度で支援してみて気づいたこと
- その他自治体職員の参考として
1. 人材バンク登録のきっかけ(自己紹介)
これまで災害廃棄物処理を経験した地方自治体職員は、大規模な災害が発生するたび、国等からの要請により被災自治体に出向き、災害廃棄物処理等の支援を行い、被災地の早期復旧に貢献してきた。
しかしながら、今まで国としては、そのような支援可能な人材の数や、自治体職員が有するスキルを詳細に把握することはできていなかった。
今後も全国各地で気候変動による度重なる大雨による被害や頻発する地震による大規模災害が懸念されており、各地方自治体では災害廃棄物処理の実務を経験した人材やそのスキルを持った職員の確保・育成が必要になってくると思われる。
このような背景から、国は災害廃棄物処理を経験した地方自治体職員を「災害廃棄物処理支援員」として登録し、平時は自ら災害廃棄物処理の新たな知識を習得し、発災時にその知識を活かし被災地を支援することを目的とした「災害廃棄物処理支援員制度(人材バンク)」を令和2年度に創設することとなった。
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)災害時、坂町では、膨大な量の災害廃棄物を環境省・地方自治体・民間協力企業等、多方面から様々な方々の支援もあり、早急に撤去・処理し、補助金申請事務から最終的な原状回復まで、様々な困難の中、事業を完了することが出来た。
令和元年に都市計画課へ、令和3年には総務課へ異動となり、あの災害から時間は経過したが、自分と同じような大規模災害に直面し、災害廃棄物処理に苦しんでいる自治体職員を自らの災害廃棄物処理を経験した知識で、手助けすることが出来るのではないかと思い、新たに創設された災害廃棄物処理支援員制度に登録した。
2.北広島町への支援内容(令和3年8月の大雨)
広島県・坂町と北広島町は約60kmの距離で、高速道路を利用し約45分の移動時間で支援先に行くことができた。コロナ禍ではあったが、同一県内で移動時間が比較的短いため、長期間にわたる定期的な支援活動を行うことができた。
最終的には北広島町には被災約1ヵ月後の9月から約4カ月間、延べ6日間にわたる支援となった。
災害廃棄物処理事業の全庁的な周知
支援先では、担当課長・係長・技師等に対し、主に財務会計事務・廃棄物処理に係る住民対応・公費解体事務・費用償還事務・仮置き場の復旧等を坂町での経験を基に説明し、支援先の職員からの質問や不安に思っている事に対し、一つ一つ丁寧に答えていった。
職員全体に災害廃棄物処理事業に対する問題意識が行きわたるよう、初回の支援では財政部局の職員にもミーティングに参加してもらい、自らの経験を交え、事業の重要性を説明し、処理の遅れによる弊害や補助金申請事務に係る危機感の共有化に努めた。
また、町災害対策本部にも参加させてもらい、町幹部に対して、災害廃棄物処理の重要性や今後行わなければならない事務、他課からの応援職員の増員等を提案し、適切な人員数を確保することで、事務処理の遅れを防ぎ、担当者のフォロー体制の充実を図った。
まず、はじめに受援町が災害廃棄物処理で何に困っているのか、何ができていないのか、分からないことは何かを見極めた上で、段階を踏んだレクチャーを行う必要性があると認識した。
災害廃棄物の迅速で適正な処理
受援町では、災害廃棄物の撤去から処理・処分までの流れは比較的スムーズに進んでいたが、最終的な災害廃棄物量や、処理・処分費の算出に悩んでいる様子が伺えた。未契約のまま撤去や処分を依頼している事務もあり、処理先の確保や仮置き場の管理期間なども含め全体的な工程管理の必要性を理解してもらった。長期間、仮置き場を開設した場合、管理費用が嵩んだり、必要な分別を怠ると、処理先が見つからなかったり、処理費用が嵩むことが懸念されたためである。
公費解体・費用償還制度の説明
北広島町での被災家屋の損壊の程度や戸数は、半壊15戸、一部損壊1戸、床下浸水86戸とあまり酷い状況でなかったためか、公費解体・費用償還事務の申請受付や要綱の策定が遅れていた。
申請受付や要綱、申請書類作成など、具体的に必要となる事務内容を説明し、被災者が一日でも早く、支援を受ける体制を構築する事が重要であるとアドバイスした。
また、被災者支援の内容(公費解体・費用償還制度の内容を精査し、どこまで町が負担するか)は、近隣他市町と比較し、被災者支援が劣らないようにする事も重要であると伝えた。
その他事業との整合性
北広島町は土砂災害による被害も大きかったことから、災害対策本部では、様々な部署が出席し、災害に係る復旧作業等の報告が行われており、町幹部が懸案事項の対応方法を検討していた。北広島町では災害廃棄物処理の経験が乏しく、災害廃棄物の処理は土木部局の復旧事業と調整を図りながら進める必要があった。土木部局は農地や山林に堆積した土砂等の対策を検討していたが、土木部局が町単独事業で行うのか、災害廃棄物処理事業の補助金を活用し処理をするのか、対応方針を決定しなければならなかった。被災者支援として今回の災害に限り、行政が廃棄物撤去を行う事も考えられたが、再び被災した時に同様の支援ができるかどうかが不透明であったため、支援内容を拡充することはなかった。
自治体としては、様々な補助事業を活用し、土砂などの撤去を行うべきだが、災害毎に支援内容が異なることは、被災者の不利益に繋がる恐れがあるため、災害の大小にかかわらず、しっかりとした基準に基づく制度設計を行い、対応策を実施する必要があると思われる。
災害等廃棄物処理事業報告書作成のフォロー
坂町でも同様であったが、北広島町でも担当者には災害廃棄物処理の補助事業の具体的な事務内容はわからないため、補助申請には報告書作成が必須であること、報告書の内容によっては補助金の減額もあり得ると理解してもらう必要があった。
補助金は査定によって減額されることがあるため、担当者に報告書の精度をあげることが重要であると認識してもらい、まずは、今までに撤去・処分した災害廃棄物の量を算出し、今後排出される災害廃棄物量を正確に推計する必要性を説明していった。
補助金申請に必要な資料作りや、推計の方法、公費解体の積算方法、処理業者との契約等、具体的に示し、支援に伺う都度、課題を伝えて次回までに整理してもらうことで、補助金申請事務は段階を踏んで完成に近づくことができた。
2~3週間毎に支援に行き報告書の状況を確認することで、担当者も報告書作成の手順に慣れて、その品質も向上し、支援日以外には電話で質問を受けるなど、完成まで互いに連携して作業にあたった。
支援期間中は、広島県職員が同行しており、自分が支援に行けない日には、県職員が状況把握とアドバイスを行っていた。
自分には、逐一、県職員から受援町の事務の進み具合や突発的な課題などの情報が提供され、その都度、対応策を考えて、次回訪問時にアドバイスを行うことができ、きめ細かい支援に繋がった。
査定時の留意点を説明
坂町でも同様だったが、初めて環境省の査定を受ける際は、上手に説明しなければならないという責任感のためか担当職員はかなり緊張すると思われる。そのため、査定に備えて、災害廃棄物処理量の算出基礎、補助金申請額の積算、処理方法を質問形式で事前にレクチャーを行い、留意点を事前に認識してもらうようにした。
報告書を作成する際にも、説明する職員自らが説明しやすく、矛盾点が無いよう、スムーズに査定を受けることが重要であるとアドバイスしていった。
3.支援にあたって大切なこと
受援先のニーズの把握
過去、他県の複数自治体を支援した際には、被災自治体の規模や担当職員の人数等によって、手厚い支援、フォロー体制の整備も必要ではないかと感じた。
規模の大きな自治体では、災害廃棄物処理に従事できる専門職員や応援職員の確保が比較的容易な場合が多いと思われる。
一方、小規模自治体では、職員数に余裕が無く、災害の程度によっては、避難所開設事務等の緊急的な対応に職員が配置されるため、災害廃棄物処理に対応できる応援職員の確保が困難な状況となる。また、災害時には、まず住民の身体の安全確保や日常生活支援の優先順位が高くなり、災害廃棄物の処理は後回しになることが予想され、事前に災害廃棄物処理計画を策定していなければ、廃棄物処理の事務が出来なくなり、全く何も手を付けないまま時間が経過する事態も懸念される。
北広島町への支援では、事前に県職員から被災状況の情報を入手し、最初に担当課等の関係者に集まってもらい、やらなければならない事やできていない事を聞き出し、受援町が不足している部分を補いつつ、査定や災害廃棄物の処理完了に向けて行わなければならない事務を順序だてて説明した。
過去の自らの経験を一方的に話すのではなく、被災自治体の意向をしっかりと聞き出し、日々変わっていく状況を考慮しながら、必要とされる支援は何かを考えながら活動を行っていく事が重要であると思った。
被災自治体に対する支援内容は多様になってくるものと思われ、例えば、環境省・県職員などが、まず被災自治体が現実的に困っている事象を入手し、迅速な状況把握に努め、その個々の課題や懸案事項を事前に支援員に連絡することで、被災地の早期の廃棄物撤去や支援員の負担軽減に繋がるものと考えられる。
4.支援時に留意したこと
被災後、1ヵ月が経過する頃には、緊急対応事務も少なくなっていく中で、災害廃棄物処理事業は徐々に本格化してくる。
担当者は通常業務がある中、災害報告書を作成しなければならず、契約事務、予算執行、処理先の確保など、先が見えない状況が長く続く。そのため、受援町には課員の人数・公費解体時の土木職員が手配できるかを確認し、契約手続きを急ぐため、契約担当課にも職員のフォローをお願いした。これは自分にも経験があったが、査定に向けた事務や査定時の説明等、先のことを考えると、担当者の心的負荷が相当重くなる。そのストレスに担当者が耐えられるかどうかを考慮した支援が必要である。
坂町では担当係長が早々に心的ストレスによる長期療養となったため、結果的にさらなる人員不足となり、一人あたりの事務負担が増加することとなった。
支援時には、同じような状況に陥らないよう、担当者の状況や担当課長としっかりコミュニケーションをとり、何でも相談できるような関係性を作るよう心掛けた。
自治体は被災者支援(災害廃棄物処理に関わらず)をどこまで充実させるのかを、しっかりと幹部を巻き込んで意思決定し、制度設計するべきであると伝えた。支援内容の制度設計や支援基準の判断を見誤ると、被災者からのクレームや支援内容の拡充による財政負担の増加に繋がる等、後に苦労しないよう、対策を早めに決定するようアドバイスを行った。
財源に余裕のない小規模自治体では、余分な支出とならないよう具体的な事項(災害報告書の内容によっては補助金が減額される・余分な作業には補助金が出ない等)をお互いに共通認識として持ってもらい、被災自治体の総意で災害廃棄物処理を行ってもらうことが重要であると思われる。
坂町では、発災当初に支援して頂いた自治体の公費解体マニュアル等をそのまま引用し、公費解体事務を行っていたが、他自治体のマニュアルを坂町の実態に即した考え方で整理していなかったため、申請受付業務で被災者とトラブルが発生した失敗例があった。このことから、支援に行った自治体には、アドバイスやマニュアルをそのまま引用するのではなく、その内容をしっかり自治体内部で検討し、事業を進めていくよう伝えていった。
5.受援先の反応
北広島町とは同一県内で比較的同規模程度の自治体同士ということもあり、当初から好意的・友好的な雰囲気で支援を行う事ができた。こちらの説明や助言に対しては、真剣に耳を傾け、町長をはじめとする、町幹部の方々も意見を取り入れてくれた。
自分は財務規則、契約事務、予算の執行管理等の町行政の詳細な点に精通していたことから、担当者がわからない事務をフォローするようにしていた。支援員が町行政の細かいところまで分かっていることで、受援自治体に安心感が生まれ、より良い信頼関係を築くことでアドバイスを快く聞いてもらえるようになったと感じた。
定期的な支援活動を行っていたので、支援中盤には、担当者自らが支援する日までに質問事項を用意し、支援時にその質問に対して回答するような流れで問題解決が図られるようになった。受援町が不明に思う点や判断に迷う案件に対しては、同じ目線で問題解決に向けて考えていき、協同して報告書を作り上げていった感覚がある。
今回の支援ではお互いに仲間意識を持ってもらうよう努め、良好な信頼関係が築けたのではないかと思う。
6.支援の成果
支援当初は、被災自治体担当者は災害復旧業務と日常業務で多忙を極めており、災害廃棄物処理事業や災害報告書作成事務に時間を割ける状態ではなかった。報告書作成作業が本格化する中、一時期は業務が一進一退の様相であったが、県職員の細やかな助言やフォローにより、段階を踏んで徐々に資料が作成されていき、最終的には精査された資料が出来上がったと思うとともに、ほぼ要求通りの補助金申請額が認められることになり安堵した。
西日本豪雨では、坂町や近隣町では、担当者がメンタル疾患により療養する事態が発生し、災害廃棄物処理事業の過酷さは身をもって分かっていた。受援町には厳しい指摘を行った事もあり、精神的にもしんどい状況だと思われたが、査定の際は、担当者がしっかりと説明できたと伺った。担当職員がメンタル療養にならなかったことは実に良かったと思う。
また、今回の支援で、受援町が「支援活動のおかげで資料が出来上がった」「支援があることが心強かった」と話されていたという事を後日伺い、支援員としての成果が出たと実感した。
7.受援と支援を経験してみての気づき
被災自治体への支援は、発災直後の緊急的な運搬・処分方法の助言、そして、今回のような災害報告書作成事務を長期間にわたって支援する手法と組み合わせて行うことも有効と感じた。
支援に際しては、環境省・被災県職員が連携して被災自治体の状況を把握の上、被災自治体にどのような支援員をマッチングするのか、被災自治体をどのようにフォローしていくのかを考える必要があり、支援員の人選等にも環境省や被災県職員が積極的に関与していくことが望まれる。
また、被災した都道府県の補助金担当職員も、発災後は多くの被災自治体の指導に時間を割かねばならず、補助金担当職員の業務はかなり過酷な状況になるものと思われるため、県職員にも災害等廃棄物処理事業費補助金申請の事務内容の理解度を向上させる等、資質向上を日ごろから行うべきと考える。
被災自治体の要請や環境省からのプッシュ型による支援があるが、被災自治体の状況によっては、全ての事務を支援員が行ってくれるものと誤解されることも考えられる。そのため、被災自治体には、支援要請する際にも、災害廃棄物処理事務の主体は自らであることを認識し、どこまでが自分達で行える範囲なのかを判断してもらう事も必要と思われる。
坂町が被災した西日本豪雨では、当初から全ての事務を町が行う事は不可能であると、環境省からアドバイスを受けた事で、広島県に災害廃棄物処理の事務委託を行う事ができ、職員の負担軽減に相当な効果があったものの、多くの業務があった。被災自治体には自らの事務処理・廃棄物処理能力と、今後行わなければならない業務量とを比較し、どのような支援が必要なのかを的確に判断する能力が問われることになる。
8.人材バンク制度で支援してみて気づいたこと
今回の支援では、国や県のマッチングにより、同規模自治体同士で所掌事務範囲や仕事内容に類似することが多くあり、アドバイスや質問等、スムーズに解決に向けたコミュニケーションが図れた。同規模自治体同士をマッチングすることで、受援自治体が遠慮することなく、分らないことや苦労している案件について相談できる状況があったと感じた。
人材バンク制度は、毎年、登録者の募集を行っているため、年々、登録者数は増加するものと思われるが、国においては、今後、スムーズな人材バンク制度の運用に際し、支援・受援自治体でミスマッチが生じないよう、人材バンクから適切な登録者を人選することが望まれる。また、定期的に登録者に研修を受講してもらうのは必要と思われるが、登録者との直接面談、過去の災害経験値の把握等、登録者の詳細な経歴リストを作ることも必要と思われ、そうすることが受援自治体の安心感にも繋がるのではないかと考える。
今回の人材バンク制度より以前に、他市町へ災害廃棄物処理事業の支援に行ったことがあり、その経験を踏まえ、スケジュール管理の重要性や、困難な事務手続きの解決策を早い段階で情報提供することができた。
支援員登録者の資質向上のためには、人材バンクでの支援経験が実績を上げる有効な手段と思われるが、令和2年にできた制度のためか、現在は制度の活用がそこまで進んでおらず、登録者が経験を積む場が少ない状況となっている。災害時に多くの登録者が支援業務に携わることができる環境整備や、各自治体・登録者が積極的に支援に行ける環境づくりを進めていく必要性があると思われる。
この度の支援では、西日本豪雨災害から期間が経過しており、補助事業の中で土木積算時の諸経費問題の解消や事務費の消滅など色々と変更となる点があった。支援前には自らが、補助制度の内容を再度読み込み、知識のアップデートを行うことが必要と感じた。
大規模災害時には、組織全体が疲弊してしまう。その中で災害廃棄物処理は長期間にわたり、補助金申請業務も膨大な事務量となる。災害復旧が進み、庁舎内が通常業務に戻る中で環境部局の担当者は先が見えないことで孤独感を感じると思われる。
支援員として被災地で活動する際には、事務担当者の孤立化を防ぎ、寄り添うような声掛けを心がける事が重要と考えられ、補助金申請事務においては伴走型で長く支援を行う事が出来ればより良い支援に繋がるものと考える。
また、この制度で被災自治体をどのように支援していくのか、災害報告書のクオリティをどの程度まで上げるのか等、国・県・受援自治体と共に支援当初から目標設定を共有する事も問題解決に向けて必要な事である。
9.その他自治体職員の参考として
近年の地方自治体が担う事務は、地方分権が推し進められ、年々、複雑化・多様化・高度化し、住民からの要求、要望件数も多くなってきていると実感している。職員数や職員の資質は各自治体によって様々であるが、日常業務の処理で忙殺されている自治体も増えているのではないだろうか。
大規模災害が発生した時には、日常業務に加え、緊急対応・被災者支援等、困難かつ膨大な事務が一度に発生し、被災自治体のみで全て解決することは、過去に被災経験があった自治体でも容易にできるものではない。
大規模災害時、国はインフラ等ハード事業の災害復旧や避難所運営において、あらゆる関係機関にプッシュ型で支援を要請し、多くの物的・人的な支援を自治体に届ける仕組みを整えている。
災害廃棄物等処理事業についても同様に、ソフト事業の体制が整いつつあり、その一つである人材バンク制度を多くの自治体職員に知ってもらい、被災時には人材バンク制度を活用すべきか、発災初期に検討することが重要と思われる。
小規模自治体が大規模に被災した場合、全職員で災害復旧・被災者支援に携わることになり、環境部局以外に配属されていても、災害廃棄物処理事業の応援に指名される可能性がある。
このことからも、今後の行政職員は、環境部局に配属された職員に限らず、災害廃棄物情報プラットフォームから過去の災害からの復旧状況や災害廃棄物処理事業等の最新情報を一度は見ておく必要があると考えられる。災害廃棄物情報プラットフォームでは、いつ発生するかもしれない災害時に役立つ、災害廃棄物処理の最新情報や過去の実績などが掲載されており、その資料を読み込むことで、災害時の対応を事前にイメージすることができる。
そのような情報を各自治体の初任者研修等のカリキュラムとして、危機管理業務等と同様に必須項目として研修に組み込み、新人職員に伝えることも重要だと思われる。