関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】多島 良(たじま りょう)

多島 良(たじまりょう)

国立環境研究所 資源循環領域 主任研究員(千葉県出身)
(2022/7/29掲載)

藤原健史(ふじわらたけし)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災の翌年に入所した際に与えられた研究テーマが「資源循環・廃棄物研究分野における法制度・マネジメントに関する研究」でした。当時としては、災害廃棄物処理を制度・マネジメントの面から研究することは新しく、問いを立てるところから苦労しました。以降、今日に至るまで災害廃棄物の研究に取り組んでいます。

もっとも強く印象に残ったこと

 東日本大震災の被災市町村の皆様に、2012年の秋頃からヒアリングをして回りました。当時、処理の途上にあるにもかかわらず、貴重な時間を割いてデータを提供いただき、生の声を聴かせていただきました。膨大な災害廃棄物の山、基礎だけ残された住宅地、庁舎の殺気立った雰囲気、職員の皆様の熱量は、今でも思い出されます。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物処理に関する政策・計画や人の意識・行動の研究に取り組んでいます。発生量推計手法の高度化、災害廃棄物対策に役立つツール・データベースの検討も進めています。実務的には、国や自治体の政策支援、計画策定支援、研修の設計・運営支援を行っています。自治体職員の皆さんや地域の方々と一緒になって、地域の課題や機会を発掘し、対策を提案・実践・検証するような、アクションリサーチに取り組みたいです。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 共通の考え方、フォーマットで集めた、災害廃棄物処理の実績に関する精度の高い情報を共有することが重要だと考えています。特に、処理実績量、組成割合、解体棟数、仮置場搬入量の時系列データは、発生量の推計や処理フローの検討に重要です。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物は、普段のごみ処理の制度・技術・システムに基づいて処理されます。その意味では、災害の視点に加えて、人口減少・高齢化、地球温暖化なども含めた課題を統合的に解決するアプローチが必要だと感じています。あまり俯瞰的なことばかりだと「それは役に立つの?」といわれてしまいますので、現場感も大切にしつつ、社会に貢献していきたいと思います。

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