船橋市の仮置場設置・運営訓練を取材しました
2021年10月
概要
船橋市では、地域防災計画に定めのある環境班が災害廃棄物処理を担当していますが、災害廃棄物処理計画や災害廃棄物処理行動マニュアルに基づいた仮置場の設置と運営の任務を実行できるように、職員の技能向上を図る一環として訓練が行われました。今回の訓練では仮置場の設置や運営に係るイメージを持つことを目指して、仮置場を開設し、搬入車両ごとに異なるシナリオを設定し、受付対応から荷降ろしまでを実践しました。
目次
1.訓練の準備
2.訓練当日・仮置場設置訓練
3.シナリオと受付~荷降ろし
・災害廃棄物の準備
・シナリオの例
・受付
・荷降ろし
4.成果と課題
・成果
・課題等
・災害時に必要となる資機材
・災害対応で重要なこと
・訓練の改善点など
5.さいごに
1. 訓練の準備
訓練実施日は、業務に支障が少なく、より多くの職員が参加できる土曜日とし、事前準備として環境部各課への連絡・役割分担の決定、訓練用地の確保、資機材の調達、仮置場レイアウトの作成、タイムスケジュールの作成、搬入者シナリオの作成等を行いました。
2. 訓練当日・仮置場設置訓練
2021年7月17日(土曜日)は晴天、気温30度のもと、環境部長、資源循環課11名、廃棄物指導課15名、クリーン推進課7名、環境保全課1名の合計35名が参加しました。
仮置場はアスファルト敷きの市有地を使用し、資機材の搬入を済ませた後、仮置場レイアウト図に従って、資機材を設置し、準備が整った後に、受付が始まりました。
当日のスケジュール | |
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8:50 | 庁舎出発 |
9:30 | 資機材設置を開始 |
9:50 | 人員・車両配置 |
10:05 | 搬入ロールプレイ開始 搬入→受付→荷降ろし→退場 |
11:00 | ロールプレイ終了 総評 |
11:15 | 片付け |
仮置場レイアウト・資機材の配置
仕切り用ロープを張る作業
3. シナリオと受付~荷降ろし
災害廃棄物の準備
災害廃棄物として、『石膏ボード』『家具類』『瓦』等と書いた段ボールを使いました。
災害廃棄物に見立てた段ボール
シナリオの例
災害廃棄物を積んだ車両6台が、それぞれ異なるシナリオを割り振られました。
- 1号車: 石膏ボード3個、家具類3個、瓦3個を積載し、受付→順番に荷降ろし→退場
- 3号車: 事業系廃棄物を積載し、搬入禁止物だが、搬入者は言い分を主張して、搬入を試みる。搬入不可と判断した際には、受付の指示に従い、出入り口付近でUターン退場する。
- 6号車: 『危険物』を積載し、受付にて荷降ろしせずに退場を指示されるため、素直に従い順路を進む。その後、隙をみて廃棄物を場内のどこかに荷降ろしをする。ただし、作業補助者等に指摘された場合は素直に従う。
災害廃棄物を積んだ車両
受付
車両ごとに、災害廃棄物搬入承諾申請書(兼減免申請書)と身分証の確認、積み荷の種類を確認して、無線で場内の誘導担当者や、保管場所の作業補助員へ品目を伝えて、入場させます。仮置場で受け入れない廃棄物を積載している場合は、正しい処理方法を指導し、受付でシナリオどおりにもめて時間がかかる場面もありました。
受付の様子
荷降ろし
場内の誘導に従って、石膏ボードに見立てた段ボールを持ちこんだ車両では、石膏ボードの看板のある場所で荷降ろしをして、フレコンバッグへ入れ、家具や瓦も作業補助員とともに荷降ろしをして、退場します。
車両の奥に置いてあったものを荷降ろしできていなかった場合に、出口付近の作業補助員が、仮置場内をもう1周して荷降ろしするよう指示しました。
荷降ろしの様子
4.成果と課題
訓練実施後のアンケートで、成果や課題を把握することができました。(n=34)
成果
・実地訓練を行うことによって、広さやどの程度まで廃棄物を置くことができるのかを想像することができた。
・不足している資機材を確認できた。
・参加職員は真剣に取り組んでおり、災害対策への意識を高めることができた。
Q:災害時の仮置場運営に係る行動(流れ)をイメージできたか。
課題等
・手順書を読んでいても訓練が始まると慌てたり忘れたりすることがあった。
・わからない理由:自分の役割や業務は、今回の訓練内容と異なるため。
Q:役割や業務内容を理解し、実行できましたか。
災害時に必要となる資機材
・真夏や雨天時用に各置場に簡易テントが必要。
・夜間対策、水道・トイレが必要。など
災害対応で重要なこと
「その他」:体制を確保しても指揮系統が機能しないと意味がない。
Q:災害対応(仮置場関連)で最も重要と考える項目を選択してください。
訓練の改善点など
・仮置場設営にいろいろな人が指示を出していたため、リーダー1名が必要と思った。
・各エリアに危険物がないかを見回るため、危険物エリアに専任者は必要ない。
・災害時に住民への搬入指示は細かくできない。
・災害前に訓練ができてよかった。他課と合同で訓練を実施したことでより実際に近い形で行えたと思う。
・夏の訓練だったため、次回は雨天や冬に行うことで準備も違ってくると思う。
5. さいごに
訓練の総評では、環境部長から「訓練を行ったことによってスムーズにできたことや課題を確認することができた。今回は3品目で設定したが、実際の災害時には15品目になる。また、訓練では管理職が全体の統括・指揮を執ったが、災害時には訓練に参加した個々の職員が他課やボランティアへ指示することになることを心得ておくように。」との話がありました。
目的としていた仮置場の設置や運営に係るイメージをもつことも達成でき、災害時に必要な資機材に関する意見や、住民への周知、組織体制が重要であることなど多くの気づきがあり、たいへん有意義な訓練だったと感じました。今後も継続的な訓練が予定されており、さらなる災害対応力の向上が期待できます。