関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】岩下信一(いわしたしんいち)

岩下 信一(いわしたしんいち)

応用地質株式会社 執行役員 地球環境事業部長(福岡県出身)
(2017/11/30掲載)

岩下 信一(いわしたしんいち)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物の関わりは、東日本大震災での岩手県や福島県の災害廃棄物処理計画や処理に関わる施工監理が最初の契機になりました。
 私は地盤工学分野を専門とする技術者でしたので、津波堆積物の物性評価や再生利用の方法に大きな関心を持ちました。

もっとも強く印象に残ったこと

 仮置き場に運ばれた膨大な混合状態の災害廃棄物を見たときは、「これらが目標期日までに本当に処理ができるのか?」と疑問と大きな不安を感じました。膨大な災害廃棄物の処理を進めていく中で、社団法人地盤工学会の技術指導および監修を頂いて「岩手県 復興資材活用マニュアル(災害廃棄物から分別された土砂及びコンクリートがらの活用について)」を作成しました。このマニュアルに基づいて、ほぼ全ての津波堆積物が再生利用されたことやマッチング(再生材の活用先の調整)に苦労したことが強く印象に残っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、自治体では災害廃棄物処理計画の策定が進められています。東日本大震災で得られた経験を活かし、廃棄物コンサルタントとして処理計画の支援、人材育成やネットワークづくり等に取り組みたいと考えています。
 また、実際の災害時には、D.Waste-Net((一社)日本廃棄物コンサルタント協会)の一員として、積極的に参画して被災地の復旧・復興に寄与したいです。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物といっても災害リスクによって様々な廃棄物が発生します。その状況下で、処理困難物の特性は、地域によって大きく異なることが推察されます。実際の災害で発生した処理困難物の処理方法等の情報を共有できればと思います。
 発災後の対応は、事前の備えである災害廃棄物処理計画に対して想定外の事象が発生することも多々あります。そのためにも過去の災害対応のアーカイブスは重要な情報と思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 「天災は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦先生のことばがあります。今や災害を忘れられる前に、大きな災害が多発しています。災害廃棄物の処理の遅れは、被災地の復旧・復興に大きな影響を与えます。災害は身近と考え、処理計画の策定や発災を想定した訓練等の「事前の備え」が重要と考えます。

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