関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】大塚義一(おおつかよしかず)

大塚 義一(おおつかよしかず)

株式会社奥村組 土木本部土木部 環境技術室(福岡県出身)
(2018/4/13掲載)

大塚 義一(おおつかよしかず)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災発生のひと月後(平成23年4月11日)に岩手県山田町における復旧・復興の支援業務に従事したことが契機です。過去に最終処分場の再生事業における土を含めた様々な種類の素材が混合した状態の廃棄物の分別処理に関する技術開発を行っていたことが、今回従事した災害廃棄物の処理業務にも繋がりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 発災時である平成23年3月11日の午後2時46分、私は大阪市内の社屋でデスクワークをしていましたが、震度は高くないものの、とても長い周期で長時間の揺れを感じました。そのひと月後に現地に赴任することになり、車で岩手県の内陸部から山田町の沿岸部にたどり着いた時に初めて海岸沿いに広がる街の被災状況を目の当たりにしました。私の想像を遥かに超える悲惨な状況に、これまでに経験したことのない、言葉には言い表せない感情がこみあげてきたことが、最も強く印象に残っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 東日本大震災における災害廃棄物処理業務に携わらせて頂いたご縁で、現在、産官学の多くの方々との多岐に渡る対話の場に参加させて頂いています。今後、首都圏直下地震や南海トラフ地震という巨大災害の発生が危惧されているなか、東日本大震災での多くの経験を絶対に無駄にしてはいけないと強く感じています。これまでに積み上げてきた災害廃棄物に係る様々な業務経験を活かしつつ、多くの関係者の皆様と共に、将来の巨大災害の発生に備えた技術的検討を微力ながらも進めていきたいと思っています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 欲しい情報として、災害発生が予想される地域の様々な特性や過去の被災履歴があります。たとえば、人工衛星やドローンを使って計測した対象地域の地形や建物の分布などのデータを分析して定量化できれば、災害廃棄物の発生量予測に使えると思います。また、被災履歴については、文献情報のみならず、現地に残る古い地名や石碑などからも追跡できると思います。新しい技術と古い記録をうまく利用することで、情報の量が拡がるとともに質が向上して利用価値の高いものになると考えています。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物対策では、国や自治体といった行政機関のみならず民間企業や研究機関など、多種多様な関係者が互いに協力して、多くのステークホルダーとの調整を行いながら進めて行く必要があり、総合的観点での迅速かつ適切なマネジメントが要求されると感じました。そうした難易度の高いプロジェクトを確実に実行するためには、産官学の関係者それぞれが被災者の方へ寄り添う姿勢を決して忘れることなく、様々な課題に立ち向かう強い意志を持ち続けることが重要だと感じています。

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