平野 孝行(ひらのたかゆき)
西松建設株式会社 土木事業本部 土木設計部(岐阜県出身)
(2018/5/31掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
平成23年東北地方太平洋沖地震の津波災害により発生した多岐にわたる膨大な量の震災がれきを、大規模・広域での受入れ場所がないため従来型の枠組みで処理することが難しいことから、可能な限りの再資源化を図ることとなったことがきっかけです。
もっとも強く印象に残ったこと
平成7年兵庫県南部地震の時は東京にいてほとんど揺れを感じませんでしたが、阪神高速道路高架橋が横倒しになるなど土木構造物が壊滅的な被害を受けていたこと、地震発生3日目に神戸和田岬に上陸した時、避難所にいた小さな女の子が怯え切った眼をしていたことが今でも記憶から離れません。奇しくも東日本大震災でも3日目に仙台に入りましたが、神戸の時と違い建築物や土木構造物の被害がそれほど目立たないことの意外性の一方で、沿岸部では、津波によって何一つ原形を留めず津波堆積土砂に覆われた平地とがれきに覆いつくされてしまった住宅地とのコントラストが印象的でした。震災がれきの処理と再資源化を図ると言っても何から手を付けて良いのか途方にくれたものです。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
恒常的な課題となっている未利用資源の活用に向け、震災がれきの処分と有効利用の立場から開発・事業化された技術を応用し、資源循環型社会の構築の拠点形成の足掛かりとなることを目指した資源循環コンソーシアムに参加しています。今後これら未利用資源を地盤系建設材料として利用していくための情報の整理や技術開発などを通して、一層の資源循環社会の構築に携わっていきたいと考えています。
災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報
未利用資源を事業者に利用してもらうために、必要とされる情報(特性,排出量・場所・時期)を排出者側から収集すると共に、土と未利用資源を組み合わせた新しい改良土技術の環境安全上の課題の整理とその対応策の検討、並びに施工とのマッチングを考えた施工単価や工期の評価を行いたいと考えています。そのための情報の提供や共有を期待しています。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
昨今頻発する豪雨災害や、巨大地震などのように自然災害の激甚化が進む中、平常時から資源循環による廃棄物利用の姿勢を保つことが災害時にも役に立つことになります。平常時から、安全・安心、かつ快適な社会システム構築のために、未利用資源や災害廃棄物の利用形態を考えるようにしていきたいと思います。