関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】青山和史(あおやまかずふみ)

青山 和史(あおやまかずふみ)

鹿島建設株式会社 環境本部 環境リノベーショングループ(兵庫県出身)
(2018/6/28掲載)

青山 和史(あおやまかずふみ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 2000年9月に発生した東海豪雨に伴い、愛知県内の大府市など2市7町から発生した水害廃棄物処理の施工を担当したことがきっかけです。当時は、会社にとっても、私にとっても、初めての大規模水害より発生した災害廃棄物処理で試行錯誤の連続でした。その後、2004年7月に発生した福井豪雨による水害廃棄物処理、2011年3月に発生した東日本大震災による石巻ブロックの災害廃棄物処理の施工を担当しました。

もっとも強く印象に残ったこと

 東海豪雨、福井豪雨と2度の災害廃棄物処理の経験はありましたが、東日本大震災後に石巻の現地に入った際、仮置き場に高く積まれた膨大な災害廃棄物の量、津波の被害を受けた泥まみれの災害廃棄物を見て、「本当に発災後3年以内に終わるのか」「どこからどう手をつけたらいいのか」と感じたことを強く覚えています。
 最終的に300万トン以上の災害廃棄物の処理を完了し、仮置き場から災害廃棄物が無くなった時に、地域の方から「本当にありがとう」と言われたことが、強く印象に残っています。地元の復興の少しでも助けになれたのではと思っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 石巻ブロックでは、廃棄物の選別、可燃物の焼却、灰のリサイクル、津波堆積物の洗浄、改質など、災害廃棄物の様々な処理を実施しました。私自身は石巻ブロックの業務完了後、本社に転勤しましたが、この経験は福島県富岡町や大熊町の災害廃棄物減容化業務に活かされています。
 石巻ブロックでの災害廃棄物処理はこれまでに経験のない大規模災害廃棄物処理のモデル現場でした。今後予想される大規模災害時にこの経験が活かされるように、民間の立場で情報発信を行っていきたいと思います。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 大規模災害で発生した災害廃棄物処理において、うまくいったことはもちろんですが、本当に苦労した点、改善したほうがいいこと、今後の課題など、現場の生の声を工事記録としてまとめて、アーカイブ化することが必要と思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 石巻ブロックの業務に携わらせていただいたご縁で、環境省、宮城県、石巻市等の『官』、東北大学や宮城大学、東北学院大学等の『学』、プラントメーカや廃棄物業界等の『産』の様々な方々との出会いがありました。東日本大震災後、広島市豪雨災害、熊本地震など大規模災害が実際発生し、また南海トラフ巨大地震の発生も予想されています。産官学連携した平時からの取組が災害発生時の迅速な初動対応につながると考えています。そのために、今後も人と人のつながりは大事にしたいと強く思います。

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