日笠山 徹巳(ひがさやまてつみ)
株式会社大林組 エンジニアリング本部(鹿児島県出身)
(2018/8/31掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
2011年東北地方太平洋沖地震の津波により発生した災害廃棄物の処理・処分工事における支援業務および関連技術の開発がきっかけです。また、災害廃棄物や津波堆積物などに起因した環境汚染問題の評価・対応に関する社外部会に参加しました。
もっとも強く印象に残ったこと
これまでは土壌・地下水汚染対策や廃棄物処分場建設、不法投棄廃棄物処分などの土壌環境分野を主な業務としていましたので、甚大なる災害に伴う廃棄物や発生土砂等への対応では、多岐広範囲にわたる知見や柔軟な発想、そして多方面の関係者との繋がりが重要と感じました。関連検討会や住民説明会では、多くのステークホルダーを対象とした合意形成の難しさなど、リスクコミュニケーションの重要性も痛感しました。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
今も災害廃棄物対策の施工支援や技術開発を行っていますが、後者では主に災害廃棄物の有効利用技術に注力しています。特に放射性物質の除去土壌等については、「除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)」に参画のうえ、活動を行っております。
災害廃棄物の減容化・再生利用について、より多くの住民の方々の合意を得るには、より安心・安全な技術検証、その成果の正確な情報提供が必要と考えます。支援者団体の立場ではありますが、再生利用が進むように貢献していきたいと思います。
災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報
昨今、暴雨や台風による未曾有の自然災害が発生しており、大量の災害廃棄物が発生し、住民生活優先の対応が求められています。過年度の経験からボランティアや広域行政支援体制はマニュアル化されていると聞いておりますが、災害廃棄物対応マニュアル等の情報ももっと多くの方々に日頃から啓蒙して頂きたいと思います。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
国家戦略「骨太の方針」では、災害廃棄物の処理や被災インフラの復旧が課題と挙がっています。土木工学、環境工学に関与する者として、常日頃よりこれらの課題を意識するとともに、各種支援業務や技術開発を通じて、有用な方策を社内外に発信していきたいと思います。