関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】小野義広(おのよしひろ)

小野 義広(おのよしひろ)

新日鐵住金エンジニアリング株式会社 環境ソリューション事業部 部長(大分県出身)
(2018/9/28掲載)

宮越 靖宏(みやごしやすひろ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 弊社では2000年頃からシャフト炉式ガス化溶融炉を用いた災害廃棄物処理に取り組んでおり、私も弊社納入施設周辺で起こった水害や高潮、地震で発生した廃棄物処理について処理方法の検討・検証を行ってきました。また東日本大震災では、廃棄物資源循環学会の焼却部会のメンバーの一員として、震災廃棄物処理の経験を今後に生かす為に、記録や資料を取りまとめて情報発信を行いました。

もっとも強く印象に残ったこと

 シャフト炉式ガス化溶融炉の商用1号機は釜石市に採用して頂きました。またシャフト炉の改善研究も釜石市にお世話になり、私自身この改善研究の間、釜石に3年間住んでいました。TVの向こうに映る見慣れた街並みが津波によって一変してしまう光景があまりにショックで、併せて災害に翻弄される方々の姿をみると、少しでも早い復興のために役に立たなければという使命感に駆り立てられました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 中間貯蔵施設での減容化施設にシャフト炉を採用して頂くことになり、放射性セシウムに汚染された廃棄物の本格処理を開始します。まずは安全・確実な処理を実現することに全力を挙げていきます。また各地で頻発する災害対応においても、当社グループが各地での災害廃棄物処理で積み重ねたノウハウを生かし、迅速な支援が行える体制を整えたいと考えています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 処理をする立場からは、処理すべき災害廃棄物の質と量を早く把握したいです。同時に処理可能な質と量を提示する必要があると思います。しかし、災害廃棄物は発生個所や被災状況によって多種多様で実際にモノを見ないと、処理を依頼する側も受ける側も何とも言えない(質も量も判らない)のが現実です。まずは早く災害廃棄物を集積することが重要で、平時にその場所を確保しておくことが必要と思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 昨今は豪雨災害も多発しており平時の備えの重要性は皆理解していると思うのですが、市町村で災害廃棄物処理計画が策定されているのは2017年度末で33%だそうです。平時に検討してもなかなか整理できないことが、災害時には待ったなしで決断を迫られます。今年(2018年9月現在)も災害は次々と起きています。完全でなくとも、検討して難しい部分を浮き彫りにするだけでも大きな意味があるように思います。

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