関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】宮越靖宏(みやごしやすひろ)

宮越 靖宏(みやごしやすひろ)

JFEエンジニアリング株式会社 福島再生プロジェクトチーム リーダー(福井県出身)
(2018/10/31掲載)

宮越 靖宏(みやごしやすひろ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年の東日本大震災です。発災の当月末に上司に連れられ、被災地視察のために横浜~仙台間を車で日帰り往復したのが始まりです。当時は、災害廃棄物とは全く無縁の業務に携わっていたため、被災地の惨状を目の当たりにしながらも、その後の災害廃棄物処理の急展開を予想できませんでした。

もっとも強く印象に残ったこと

 宮城県の復興に向け災害廃棄物処理が迅速に進められたことが印象に残ります。発災の翌月には仙台市で仮設焼却炉による処理計画が始まり、半年足らずで建設を終え、10月1日には操業が開始されました。宮城県の宮城東部ブロックの災害廃棄物処理では廃棄物の運搬から破砕選別、仮設焼却炉による焼却処理、さらに津波堆積物や焼却灰の資源化まで、未経験の仕事が多々あり苦労はありましたが、履行期限の2年間で完遂できました。これらの業務を通して、協働させていただいた建設会社の皆様には学ぶところが多々あり、感謝の気持ちは未だに絶えることはありません。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、福島県双葉町で中間貯蔵施設の減容化施設を建設中です。本業務は仮設焼却炉の焼却灰をさらに溶融減容するという我々にとって初めての仕事で遂行には困難が予想されますが、JVパートナーや協力会社の皆様と力を合わせ安全・確実にやり遂げ、この地に貢献することが目下の目標です。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災の災害廃棄物処理で培われた技術や情報が福島第一原子力発電所の廃棄物処理業務に共有され、廃炉推進の一助になればと愚考します。原子力発電所における業務は法規制や管理の厳格さなど、我々が行っている発電所外の業務とは多くの違いがありますが、より安全で合理的な選択肢がひとつでも増えることは我々国民の利益に繋がるのでないかと思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 東日本大震災の廃棄物処理に携わり再認識させられたのは、これだけの難局に直面しても怯むことなく適切な解決策を導き、着実に遂行するエコシステム(社会的生態系)と人々がこの国には存するということです。その一員たるべく、事に臨んでは己の狭い視野からより大きな問題を見落とすことのないよう、常に他者から学ぶことを心がけたいと思います。

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