関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】大迫政浩(おおさこまさひろ)

大迫政浩(おおさこまさひろ)

国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
センター長(鹿児島県出身)
(2017/10/31掲載)

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災害廃棄物に関わったきっかけ

 廃棄物分野で駆け出しだった頃、阪神淡路大震災が起こり、学会の若手チームで調査研究を行った経験はありましたが、やはり東日本大震災、未曽有の津波災害に対して、環境省所管の研究機関の責任者として技術的支援の立場から関わることになったことが大きな契機になりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 東日本大震災における宮城県や岩手県の沿岸部の悲惨な状況、この前まであった人の営みの場がすべて「がれき」となった姿に、自然を前にして人間が無力であることを思い知らされました。それでも、国立環境研究所では、過去に全く知見のなかった津波廃棄物の処理に対して、発災直後から全国の専門家のネットワークを通じて知見を収集整理し、被災地で活用可能な情報を発信し続けました。日頃の人のつながり、信頼関係が、被災地の人々を助けたいとの一心で結集した瞬間でした。強く印象に残っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 国立環境研究所では、平成28年4月に災害環境マネジメント戦略推進オフィスを設置しました。そこでは、D.Waste-Netの有識者グループの中核機関として平時から災害時までの災害廃棄物対策の支援を行うことになります。本情報プラットフォームもその一環です。熊本地震や九州北部豪雨災害時には現地での技術支援を行いました。人材育成手法の開発やその実践なども行っています。今後は、産官学問わず支援側でコアとなる専門家の人材づくりとそのネットワーク化に注力していきたいと思っています。

災害廃棄物対策に関してほしい情報、共有したい情報

 地震や豪雨災害が毎年のように起こる日本、全国各地で災害廃棄物処理に様々な立場から携わった方々が少なからずいらっしゃると思います。それらの経験者の人材のネットワークをつくるための情報を共有できればと考えています。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害時の廃棄物対策には、平時とは異なる様々な混乱がありますが、決して別物ではなく両者はつながっていると思います。災害廃棄物対策への強靭なシステムをつくっていくことが、日頃の廃棄物処理にもつながっていき、強靭で持続可能な廃棄物処理システムづくりへの契機になると信じています。特に重要なことが、人材育成とネットワークづくりではないでしょうか。

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