関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】千葉俊彦(ちばとしひこ)

千葉 俊彦(ちばとしひこ)

株式会社エックス都市研究所 環境エンジニアリング事業本部
設計支援グループ 副グループ長(千葉県出身)
(2019/9/30掲載)

千葉 俊彦(ちばとしひこ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 廃棄物コンサルタントとして主に最終処分場の計画・設計業務を行っている。災害廃棄物対策についても役に立てることがあるのではとの思いは強かったが、実際に関わったのは、東日本大震災と関東・東北豪雨からである。

もっとも強く印象に残ったこと

 関東・東北豪雨では発災から約1ヶ月後に常総市の支援業務を受託し、担当となった。
 常総市の水害のことはTV報道で見る程度で、全くの人ごとであったが、1ヶ月遅れで当事者となり、常総市のプロジェクトチーム、環境省や茨城県等の支援チームとの情報格差を埋めるところからのスタートとなった。
 その後、約半年間、常総市役所の災害廃棄物対策プロジェクトチーム内に常駐し、当事者意識を持ちながら災害廃棄物対策に係る日々の判断の手助けを行った。コンサルタントとしては得がたい経験であった。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は東日本大震災によって発生した指定廃棄物の処理支援が主な業務である。
 一方、大規模災害時には一般社団法人持続可能社会推進コンサルタント協会(旧廃コン協)のメンバーとして、D.Waste-Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)を通じた被災地支援に参加するほか、自治体の災害廃棄物処理計画策定支援等を行っている。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 発災直後は、確認された情報から被災規模や災害廃棄物量が控えめに発表され、初動が遅れる傾向がある。災害規模に応じて被災家屋数等を概略推定して全体像を把握する方法の確立が望まれる。一方で、災害廃棄物対策の経験者は直感で災害規模を把握できるため、経験知の共有が必要だと考える。
 また、受援側が必要とする情報と支援側が提供する情報に時系列的な乖離が見られる。支援側が必要となる支援内容を判断するために、受援側からの情報を必要とするが、発災直後の混乱期に支援側が必要とする情報を、受援側から発信することは困難である。このことから、初動における支援側の自立的な情報収集体制の確立が望まれる。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 阪神大震災時に宝塚市で被災し、家内の実家の離れをリフォームした新居が、完成後僅か8ヶ月で全壊して解体した。リフォームで寝室を補強していなければ、確実に家の下敷きになっていたであろう。隣接する母屋も全壊し、義祖母が犠牲になった。
 当時、駆け出しの廃棄物コンサルタントであったが、災害廃棄物処理に対して何も出来なかった悔しい思いがある。
 自然災害が多発しており、発災時には直ぐにでも駆けつけたい思いはあるが、日常業務に追われており、思うように動けない。

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