関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】深松 努(ふかまつつとむ)

深松 努(ふかまつつとむ)

株式会社深松組 代表取締役社長
一般社団法人 仙台建設業協会 会長(富山県出身)
(2020/1/31掲載)

深松 努(ふかまつつとむ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災によるがれき撤去が最大のきっかけです。仙台市では、通常のごみ処理量の4年分に当たる約135万tの震災がれきが発生しました。まず作業者の役割を徹底。市と民間が一体となり、がれきを収集・分別・焼却するためのがれき搬入場を整備しました。後に「仙台方式」と言われるようになりましたが、がれきを1次仮置き場にそのまま持ち込むのではなく、現場であらかじめ可燃物、不燃物、資源物に粗分別しました。がれきは東部沿岸部(津波で被災した海岸公園跡地)に位置する3地区に設けた計約103haの搬入場に運搬しました。搬入場は1次、2次仮置き場を一元化。10種類以上に細かく分別し50%以上のリサイクルを目指しました。仙台方式の導入により平成23年12月に撤去終了。併せて、約122万tの津波廃棄物は、国の海岸防災林、海岸堤防事業、及び市の道路のかさ上げ、海岸公園復旧事業の盛土材として活用しました。

もっとも強く印象に残ったこと

 市と民間の一体化の重要性です。災害廃棄物に関する市の窓口(環境局)を一本化して頂きました。一方民間も、宮城県解体工事業協同組合、宮城県産業廃棄物協会(現:産業資源循環協会)仙台支部及び、当仙台建設業協会が強力に連携しました。加えて、この4者の顔の見える関係の構築と継続の重要性です。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 この顔の見える関係の成果の一つとして、災害廃棄物の処理を適正かつ迅速に進めるため、上記4者で平成30年に「仙台市における災害廃棄物の処理等の協力に関する協定」を締結しました。そして、発災翌日から発生する災害廃棄物の処理のため、解体、廃棄物、建設3団体の顔の見える関係の重要性を広く伝えたいと思います。発災してからでは遅いです。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物に対する関係団体の考え方及び、廃棄物を搬出する市民への情報提供の重要性が共有したい情報です。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 平成30年9月、当協会は浜松建設業協会と「仙台市及び浜松市における災害時の相互援助に関する協定」を締結しました。西日本豪雨や令和元年台風19号豪雨による広域的な被害の惨状が記憶に新しいところですが、一災害で同時に被災地とならない地域同士の相互援助の重要性が今、一段と増しています。仙台より全国に広く強く訴えたいと思います。

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