関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】早川宏明(はやかわひろあき)

早川 宏明(はやかわひろあき)

大栄環境株式会社 中部営業部 自治体医療担当課 担当次長(大阪府出身)
(2020/5/29掲載)

早川 宏明(はやかわひろあき)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成24年に当社に入社後、一般廃棄物処理受託やその他行政向けの付加価値提案における営業を3年間行って参りました。平成27年9月に発生した関東・東北豪雨に伴う「災害廃棄物処理の業務委託」(茨城県常総市)について、当時の上司と一緒に営業担当として関わったことが「災害廃棄物」処理の対応への本格的な関わったきっかけとなります。
 当時は関東圏で当社ブランドイメージも薄く、常総市に関しましても、最初は当社の業務内容の説明や阪神淡路大震災以降、当社での災害廃棄物処理の実績やその方法について丁寧に説明を行い、先方に理解を得るように努めました。その営業活動の甲斐があって、見積合わせによる指名を当社にも頂けることになり、その行政手続きを経て平成27年12月末に当社で災害廃棄物の処理を請け負うこととなりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 契約後、業務着手前より、仕様書に記載の書類(業務実施計画書等)の作成など、当社内の様々な部署のメンバーが事前準備における業務に携わり、仮置場における運営を行政の方と打合せを行い、契約決定から1か月後の2月3日より「災害廃棄物」の仮置場からの搬出が開始されました。
 当時設定されていた「仮置場」の中に、近隣に行政施設(小学校、市役所出先)や民間の住宅地があるところがありました。搬出準備の際、ある仮置場の周辺住民の方に説明のため、行政の方と訪問した際、災害廃棄物搬出時の粉塵や飛散について細かく指摘を受けました。今考えれば当たり前のことを仰っているのですが、その当時は計画どおりに搬出が出来なくなるのでは・・・とも考えました。
 周辺住民の方は搬出開始から毎日、当社の仮置場における作業運用を見に来られていて、いつストップがかかるかと懸念する状況でしたが、仮置場を管理していた責任者をはじめ全従事者がより丁寧な作業を実施したことが評価され、計画通り搬出を行なうことができました。搬出終了が近づく頃には、地区市民とも雑談ができるほどの関係性を構築できました。
 行政の方と一緒に丁寧な説明を行い、計画どおりに実行すれば、周辺住民の方々にご理解を頂けると実感できたことが最も印象に残っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成28年度の「熊本地震」の際にも、熊本市から排出される「災害廃棄物処理」に関する対応でも一部関わらせて頂き、この時は地震による家屋や建物の倒壊における廃棄物の確認を行い、災害の種類により排出される廃棄物の内容が今までの想像や考えと一変したことを記憶しております。
 以降はその経験を元に「事業者が考える災害廃棄物処理」という講演の機会を頂き、地域ブロックの災害廃棄物のセミナーや大学の講義で大学生の方々にお伝えをさせて頂いております。
 引続き機会がございましたら、可能な限り営業として今までの経験を元に、災害時の「災害廃棄物」処理に向けた備えや対応について知って頂く(営業活動にも繋がる)活動を行って参りたいと考えております。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 色々な行政の方とお話しさせて頂きましたが、実際の発災時に排出される「災害廃棄物」を平常時より如何に具体的に想定して(通常市町村ごとに「地域防災計画」や「災害廃棄物処理計画」を策定されている)、準備が出来ているかということが重要と考えます。
 つきましては発災規模に応じた「災害廃棄物」の数量、その仮置場の情報(例:より大きな仮置場で導線(搬入出道路)が広ければ、1日に搬出できる廃棄物の量が増加し、短期間で仮置場より災害廃棄物を片付けることが可能)や行政の体制(発災時の具体的な体制の確立)などの詳細情報において、事前準備、予行演習等を行い、その情報を提供、共有させて頂ければ廃棄物処理の対応もスムーズに運ぶと考えます。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 一番に考えるのは、災害廃棄物処理の業務に携わったことで、被災地が災害からの復興に向けた第一歩を踏み出して頂くために、その廃棄物を迅速、適正な処理を最優先して考えることが重要ということです。そのことを信念に持ち、災害が無いことが一番良いことですが、万が一このような局面において当社でお手伝いをさせて頂く事があれば、全力で対応させて頂きたいと考えます。
 現在、未曽有の「ウィルス(COVID-19)」による災害に見舞われていますが、様々な方策を講じ対応されています。自然災害における「災害廃棄物」処理においても、被災行政におかれましては復興に向けて前に進んでいくための努力をされてきた姿を幾度も拝見してきました。この局面でも必ず復興できると信じて、各々が役割を果たして困難な局面を乗り越えて参りましょう。

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