関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】水口定臣(みなくちさだおみ)

水口 定臣(みなくちさだおみ)

一般社団法人 えひめ産業資源循環協会 専務理事(愛媛県出身)
(2020/9/30掲載)

水口 定臣(みなくちさだおみ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 私がえひめ産業資源循環協会と関わるようになった平成28年4月、愛媛県が災害廃棄物処理計画を策定し、全市町に平成31年3月までに市町計画を策定するように通知しました。当協会は、平成15年4月に県と「災害時における廃棄物処理の協力に関する協定」を締結し、「災害時における復旧支援規程」を制定していましたが、支援実績もなく何もしていない状態でした。広島豪雨水害や熊本地震等局所的な災害が発生するようになり、災害廃棄物について多くの報道がなされていたことから、支援要請があることを想定して、毎年資機材調査や県外被災地の視察調査を行い、協会や会員の対応能力向上や環境省や県等関係機関との連携強化を図るようにしたのが災害廃棄物に関わるきっかけでした。

もっとも強く印象に残ったこと

 平成30年7月豪雨災害で松山市の土砂災害のみが報道される中、孤立した南予地方の水害や土砂災害の状況やSOSがSNSで流れてきたときに、「大変なことになってる。これからどう対応するか。」と思いました。
 休日でしたが直ちに会員の安否確認を始めると、被災地域では事務所や機材が流出や水没した会員が多くいました。その後、県と共に仮置場が順次混合廃棄物で溢れていっている市町の仮置場の設置運営や搬出等の指導助言、勝手仮置場の災害廃棄物撤去や災害廃棄物広域処理の運搬のボランティア活動、災害廃棄物処理を行っている会員の支援等であっという間に2か月程が経ち、災害廃棄物の県内処理に目途が立った時にはホッとしました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成30年7月豪雨災害の災害廃棄物処理を行ってみて、幾つかの改善点がありそれらの対応を行っています。1点目は災害廃棄物の実施主体である全市町との協定を令和元年6月に締結し連携強化を図っていること。2点目は支援要請があった場合に迅速に対応できるよう、情報伝達訓練やBCP策定等会員の能力向上を図ることです。
 また、災害廃棄物を一般廃棄物として特例等で処理することには無理があり、一廃、産廃と新たに災害廃棄物という新たなスキームで処理を行うのがベストと思います。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物に関して処理主体である各市町村が、「して欲しいことリスト」と「出来ることリスト」を作成し、関係機関と情報共有することです。このリストがあれば支援団体は無駄なくプッシュ型支援が行えます。
 また、環境省災害廃棄物ブロック協議会には処理主体である市町村が全ては参加しておりませんが、全市町村が参加し情報共有を図るようにすることも重要です。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物に関わる一人一人が前向きに主体となってつながれば、迅速に処理が終わり早期に復興に着手できると思います。

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