関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】若松秀樹(わかまつひでき)

若松 秀樹(わかまつひでき)

株式会社神鋼環境ソリューション 環境エンジニアリング事業本部
環境プラント技術本部 装置技術部 第二技術室 室長(新潟県出身)
(2021/3/31掲載)

若松 秀樹(わかまつひでき)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物に最初に関わったのは、平成13年7月から2年間、現(公財)廃棄物・3R研究財団に出向した際、環境省から受託した「災害廃棄物対策マニュアル検討調査(水害廃棄物)」業務でした。委員会の運営から報告書の作成まで事務担当として対応しました。その後は東日本大震災後の災害廃棄物処理施設の仮設焼却炉の設計者として、相馬市・新地町向けならびに飯舘村蕨平向けの施設建設に携わりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 災害廃棄物対策マニュアルに携わった際、毎年のように発生する台風や集中豪雨水害による廃棄物の処理に関する資料はとても少なく、当時の知見を集約する報告書の作成はとてもやりがいがありました。また、仮設焼却炉の施設建設では当社の技術力を集約でき、運営業務を担当した同僚のきめ細かな対応により無事契約どおりに処理業務を完遂できたことで、設計員としてわずかでも復興の役に立てたのだと実感しました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 当社がこれまでに納めた一般廃棄物処理施設が被災した事例では、現地で運転業務・補修業務を担う多くの仲間の努力で、速やかな復旧と運転再開を実現できました。災害拠点の役割を強く求められる一般廃棄物処理施設をさらに進化させて実現するため、仮設焼却炉の運営実績も取り込み、今後もプラント設計に携わってまいります。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災以降、水害も含めて災害廃棄物処理に関する情報の集約が進み、マニュアルが飛躍的に整備され、本サイトでも公開されています。自治体では災害廃棄物処理計画の策定が広がっており、想定される災害廃棄物発生量、処理体制、周辺地域や周辺事業者との連携などの情報が示されています。これらは、一般廃棄物処理施設の設計・建設・施設運営にあたって関係者全員が共有し、有効活用すべき情報と考えます。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 当社が納めた焼却施設において、鳥インフルエンザで殺処分された養鶏を焼却処理している現場を垣間見た際、施設内で業務する方々への衛生面の確保が必要だと実感しました。コロナ禍において、当社ステークホルダーで焼却施設での受け入れ業務やし尿処理施設、下水処理施設の運営に携わる方々も衛生面で大変苦労されていると思います。「衛生確保」を支える設計の必要性も強く意識していきたいです。

スマートフォン用ページで見る