関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】長谷川順一(はせがわじゅんいち)

長谷川 順一(はせがわじゅんいち)

建物修復支援ネットワーク 代表(新潟県出身)
(2021/4/30掲載)

長谷川 順一(はせがわじゅんいち)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 1995年の阪神淡路大震災当時、大規模火災も重なる中で「木の家は弱い、古いものほど危ない」との声が聞こえてきた記憶。それから約9年後の新潟県中越地震被災地で同じことが繰り返されぬようにとの思いから、建物の壊れた道理を分析し誤解を解き、直す道筋を追求すべく建築・土木の専門家と協働し、被災建物の解体廃棄を最小限にとどめる道を模索したこと。

もっとも強く印象に残ったこと

 暮らしや生業の器としてのおびただしい数の住宅などの建物が、直す術やそのコストを知らなければ同時多発的に解体され、その結果地域一帯が記憶喪失に陥るかという程、更地化してしまうということ。また一方で修復説明会を行った別の地域では、曳家などの専門業者が競い合うようにして集結し、伝統技術により多くの建物・一帯の町並みが修復保全されたこと(旧新潟県川口町=現長岡市に吸収合併)。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 東日本大震災により、自他の敷地境界の区別なく破壊、漂流移動してしまった建物の除却のため、公費による建物制度(公費解体)が復活して以降、2014長野神城、2016熊本などの地震被災地、近年多発する水害被災地において、直せば使い続けることが出来る建物が安易に解体されるケースが多発しました。その中で建物の修復技術の普及を図ることで、過度な建物解体除却によって、被災者が復興に道筋を描けなくなることを防ぐ活動を行っています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 「家繕い(やづくろい)」の技法、再生を前提にした伝統建築の技術や曳き家(ひきや)の技術による、建物の修復再生の技法。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 全産業廃棄物のおよそ半数とも、1/3とも言われる建設廃材。なかでも自然災害発生後に同時多発的に起こる建物のパニック的な解体により、廃棄物処分が過大となるばかりか、それにより被災者の生活再建の道が絶たれてしまうことがないように、これからも事前防災や災害後の建物修復など、応急対応や修復方法の普及・啓蒙活動を行っていきたいと考えています。
【参考】建物修復支援ネットワークのブログ「全壊住宅の修復再生」

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