関係者とつながるリレー寄稿 Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】川添 優(かわぞえゆう)

川添 優(かわぞえゆう)

パシフィックコンサルタンツ株式会社 資源循環マネジメント部(大阪府出身)
(2021/8/31掲載)

川添 優(かわぞえゆう)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 入社をきっかけに関わるようになりました。学生時代は、東南アジアのタイで電子廃棄物の適正回収のための研究をしており、人が物を捨てるときの心理について研究していました。その当時のタイではごみを分別回収する習慣が無く、混合ごみのポイ捨ての山になっている空き地もたくさんありました。ですが、仏教の信仰心が厚い国民性もあり、お寺が分別収集するリサイクルショップを経営していると、そこにはたくさんの人が分別してリサイクルしに来る、といった文化もありました。被災地で仮置場に立っていると、災害廃棄物を捨てに来る住民の方は、混合ごみが山積みになっている場所があっても皆、初めは分別方法について聞いてくれます。大切にしてきた物を捨てる時は、どんな物でも、「何かの役に立ってほしい」と思う心は万国共通にあるのではと思います。ただ、それを活かせるかどうか、は捨てられる場所の管理体制によるのだと感じます。

もっとも強く印象に残ったこと

 令和元年東日本台風の際に長野県に派遣され、その当時、災害廃棄物が山のように積まれていた赤沼公園で、その目の前に住む住民の方と話していた時のことです。「リンゴ畑が広がり、芝生がきれいな公園が見えるその場所が親子3代、気に入って、2世帯住宅に改築した所だったけれども、こんな風に跡形も無くなってしまってとても悲しい、ただ、災害ごみを出す場所が近くになかったので仕方なく、ここに置きだし、当初は自分たちなりに分別して置いていたのがいつの間にかこんな風に混合ごみの山と化してきてしまって無念だ。」とその方は話してくれました。この時初めて、『仮置場』となる土地も様々な住民の思い出や人生と寄り添ってきた土地なんだという事を改めて強く感じました。そして、仮置場として使用する際の復旧復興までを見越した管理体制を初動期の早い段階から敷くことの大切さをひしと感じました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物に関するあらゆる仕事については未だアナログ的な作業がほとんどです。ですが、少子高齢化が進み4人に1人が高齢者となりつつある中で、毎年のように全国で災害が発生しているという現状では、少ない人手でも対応できるようなしくみにしていくべきだと思います。老若男女問わずスマホを持つ時代です。今後は、一技術者として、災害廃棄物対応に係る負担を少しでも軽減するために、デジタル技術をどのように活用していくか、という視点でも考えてみたいと思っています。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 地球温暖化による気候変動と少子高齢化がともに進む日本ならではの災害廃棄物対応を発展させられるといいなと思います。

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