関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】吉岡敏明(よしおかとしあき)

吉岡敏明(よしおかとしあき)

国立大学法人東北大学 大学院環境科学研究科 教授 (研究科長)(宮城県出身)
(2018/3/9掲載)

吉岡 敏明(よしおかとしあき)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災です。廃棄物資源循環学会が災害廃棄物処理のタスクチームを立ち上げたこと、東北大学に在職しており普段から地元自治体とのつながりもありましたので、当然という気持ちで関わってきました。

もっとも強く印象に残ったこと

 地震が発生した時は、廃棄物資源循環学会東北支部の講演会で米沢にいました。参加者全員の携帯電話から一斉に緊急通報のアラーム鳴り、一瞬間があった後、建物全体が回転するように揺れました。レンタカーを借りて、真っ暗で、人ごみでごった返す中、携帯電話の明かりを頼りにコンビニで食料や水を仕入れ、沿岸部を避けながら段差がついた道路を運転し、火災で赤くなっている空を目にしながら仙台までの帰路につきました。
 大学においては危険判定の査定が済むまで建物への入室が禁じられていたこと、インフラが復旧するまで関西にいる親戚に家族を預け、当時、廃棄物資源循環学会会長であった酒井先生のご配慮により京都大学内で仕事しておりました。
 京都市が仙台市への応援部隊を出し、その報告に涙したことを覚えています。その後、京都大学の浅利先生、平山先生と仙台で合流し、仙台市役所内のスペースを使わせていただきながら廃棄物資源循環学会の災害廃棄物処理のタスクチームの一員として、各地元自治体や学会メンバーと様々な情報共有・発信を進めてきました。5月末まで毎日、朝から晩まで各役所や災害廃棄物の仮置き場や集積所を廻りました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物処理関係する対策指針の検討、各自治体や関係機関で作成する報告書の取り纏めに協力してきました。また、災害対策としての廃棄物処理を平時における廃棄物処理とどのように関係付けるかは、今後の大きな課題であると考えています。現在、各自治体で災害廃棄物対策の計画策定が進められています。平時の取組を通して災害時にも対応できる計画作り、それを実行に結び付けできる人材育成にも貢献したいと思っています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 様々な業界が保有する技術の現状と、その技術が対応できる範疇はどこまでか、さらにはどのレベルまでの技術開発が必要かという、生々しい情報を共有したいと思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 東北大学の青葉山キャンパスに「常日頃」という碑が立っています。平時からの関係機関との意思疎通を弛まぬ努力をもって図ることが重要です。また、それを上手に進めるための技術と社会システムをみんなで作っていきたいと思います。

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