関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】山田正人(やまだまさと)

山田正人(やまだまさと)

国立研究開発法人 国立環境研究所 福島支部 汚染廃棄物管理研究室 室長 (千葉県出身)
(2018/5/31掲載)

山田 正人(やまだまさと)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本の震災の後、電車も動かずガソリンも無く、つくば市にある研究所まで行けずに、しばらく自宅待機となりました。その間に、以前からお付き合いのあった地環研の研究者などにお願いし、Webベースで意見を交換することで、被災地からの災害廃棄物処理に関する技術的な質問に答える「震災対応ネットワーク」を作ったのが始まりです。

もっとも強く印象に残ったこと

 私の最初の被災地入りは福島県でした。当時は原発事故などもあり、環境省が派遣した支援チーム以外、まだ外からあまり人が入っていませんでした。そのときに見た津波被災地は忘れられない光景です。特に被災された方がおそらく自宅のがれきの中から、呆然となにか探している姿が強く印象に残っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 被災地で災害廃棄物処理をみていて、手選別に興味を持ちました。特別な器機がなくても導入でき、通常の廃棄物処理の現場でも質の高い資源を回収する主力の技術です。ただし、こうやったらこうなる、という理論が判然としておらず、それを明らかにすれば、途上国での災害廃棄物処理でも役に立つ技術になると思って研究しています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災のときは、災害廃棄物処理のメインシステムが焼却となり、資源利用でなかったのが反省点の一つだと思います。もし、地域の産業を最大限活用すると、処理の期間や費用はどうなるかを検討した当時のレポートは、http://www.jesc.or.jp/library/tabid/210/Default.aspxにアーカイブとして残っています。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 適正な災害廃棄物処理の基本は全て平時の廃棄物処理にあります。災害廃棄物処理は、物がない、人がいない、時間がない中での緊急時対応ですが、そういうときこそ、平時からの繋がりや積み重ねがものをいいます。何か特別なことではなくて、普段の廃棄物処理のプロフェッショナルとなることが、災害への備えになると思います。

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