島岡隆行(しまおかたかゆき)
国立大学法人九州大学大学院 工学研究院環境社会部門 教授 (京都府出身)
(2018/6/28掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
6,000人を超える犠牲者を出した1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災である。当時の廃棄物学会会長、花嶋正孝先生は、若手廃棄物研究者の育成を掲げておられ、学会の自主研究の一環として私をリーダに、30歳代の会員(5名)で被災地を調査することになった。被災直後から約2年間、6回に亘り、被災地を調査した。被災地自治体の担当者にヒアリングもさせていただき、調査結果は報告書として取り纏め、年会で会員に無償配布した。
もっとも強く印象に残ったこと
阪神・淡路大震災における喧噪と混沌。ワンフロアが押し潰された神戸市役所。大型トレラーに積載され道路を走る(?)阪急電車の車両。ミンチ解体される損壊家屋。三ノ宮駅前のグランドに山積みされた電信柱。街中の粉塵で壊れた愛用していたカメラ。自治体によって異なる統括部局:土木局、環境局、経済局。神戸市、宝塚市、尼崎市で、やむにやまれず実施された野焼き。一面、炎と煙で覆われた“戦場”さながらの沿岸域の野焼き現場。家庭以外からの廃棄物は産業廃棄物だとして、かたくなに受入れを拒否されていた伊丹市の仮置場。ライフラインが途切れた神戸市東クリーンセンター空地に累積した廃棄物とその中のおびただしい数の、しかも、底にきちんと穴があけられたガスカセットボンベ。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
私が住んでいる九州地方は全国的にも台風や集中豪雨による水害、火山災害、土砂災害、地震など自然災害が多い地域と言われています。災害発生後、迅速に現地に入り、現状の把握と現地の支援に努めている。
災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報
公表されている災害廃棄物発生量は、環境省による災害等廃棄物処理事業補助金により処理された廃棄物の量である。大規模地震では膨大な量となるであろう環境省以外の省庁、JR・NEXCO、大企業等が処理責任者とされる廃棄物も含めた災害に伴う廃棄物の全体像を明確にしたい。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
ご自身や身内の方々も被災されている中においても、災害廃棄物の初期対応に全力で職務に当たっておられる自治体の方々に、いつも感動を覚えます。大学・学会として被災自治体を支援するための適切なタイムライン、支援方法を検討していきたい。