関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】佐藤研一(さとうけんいち)

佐藤研一(さとうけんいち)

福岡大学工学部 社会デザイン工学科 教授(福岡県出身)
(2019/4/26掲載)

佐藤 研一(さとうけんいち)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災の災害廃棄物処理について地盤工学会の「21世紀の新しい地盤環境問題の解決方策に関する研究委員会」の委員長及び「災害からの復興における災害廃棄物、建設副産物及び産業副産物の有効利用のあり方に関する提言検討委員会」のメンバーとして活動したのがきっかけです。この中の活動として、学会としての提言「地震時における地盤災害の課題と対策 2011年東日本大震災の教訓と提言」と「災害廃棄物から再生された復興資材の有効利用ガイドライン」の作成を委員会のメンバーと行いました。この活動の中で被災地の現地調査とその取りまとめを行い、災害廃棄物について多くのことを学びました。

もっとも強く印象に残ったこと

 東日本大震災に関しては、膨大な災害廃棄物の処理のために、日本国内のゼネコンが各地域で巨大な分別・焼却施設を整備し、3年間と言う期間内にすべての廃棄物処理事業を終了させていく状況を見ることができたことが印象に残っています。また、各自治体の災害廃棄物処理の様々な取り組みに触れられたことで多くのことを学ぶことが出来ました。特に、地盤工学会のガイドラインを参考に災害廃棄物の処理から再生されたものを復興事業に利用され、形になったことはやりがいを感じました。
 九州北部豪雨では、災害廃棄物の調査で、地震・津波災害とはまったく異なった土砂と樹木の膨大さに驚愕しました。また、地域河川の氾濫から生じた災害廃棄物の処理に自治体の管轄の違いによる処理の場所・方法の違いが災害復興の足かせになっていることを知り、自治体の枠を超えた災害協定などの取組みの必要性を実感したことです。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 これまでの経験を生かして、地域の災害廃棄物処理計画・マニュアルの策定などの支援を行っていきたいと思っております。また、災害廃棄物処理に伴って発生する様々な処理材料を、復興事業に少しでも役に立つように建設復興資材への有効利用のお手伝いや災害に伴って発生した土壌汚染の対策などの業務に携わっていければと考えています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 最近頻発している各種災害から発生・処理された廃棄物の詳細な統計データが知りたいと思います。また、自治体の災害廃棄物への取組み状況(特に被災した自治体が苦労・成功した取組み)などの情報を整理したものがあれば、これから災害廃棄物対策を進めて行く自治体の参考になると思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 ここ数年、多くの自然災害が起こり、その度に災害廃棄物の処理の問題が発生しています。この処理は、初動対応が最も重要と考えられます。そのためにも自治体のマニュアル整備と地域連携と協定の締結を進めることが重要であると考えています。

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