関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】鶴巻峰夫(つるまきみねお)

鶴巻峰夫(つるまきみねお)

※「鶴」は正式には「靏」

独立行政法人 国立高等専門学校機構 和歌山工業高等専門学校 環境都市工学科 教授 (新潟県出身)
(2019/11/29掲載)

鶴巻 峰夫(つるまきみねお)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 東北、関東を襲った東日本大震災のあった年の9月に和歌山県は台風12号による未曾有の大水害に見舞われました。その直後に熊野川沿いの集落の浸水跡や施設がすべて流出した道の駅などの光景を見るとともに、当時関係していた新宮市の廃棄物担当の方の話を聞いたことが災害廃棄物処理の研究を始めるきっかけとなりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 研究では、南海トラフ地震を想定したごみ処理のほかし尿処理についても取り組んでいますが、その被害予測の甚大さには驚かされました。和歌山県下においては30%以上の建物が全壊し、一時的には人口の約50%程度の避難者が発生するというもので、和歌山県は壊滅的な被害を受ける可能性があることを自身の計算によって確認したとき、社会問題としての重大さに改めて気づかされました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 私の所属機関は和歌山県中部沿岸部に位置しています。周辺地域は過疎化が著しく進行していて、このままでは早晩ごみ処理行政は立ちゆかなくなります。それに加えて災害に対して非常に脆弱な面を持っています。このような地域において、災害対応が十分に考慮され環境省が提唱する地域循環共生圏の考え方とも一致する環境関連インフラのあり方をテーマとして研究を進めたいと思っています。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害の種類や規模によって廃棄物量はもとより種類、状態が異なってきます。状況に応じて迅速にかつ簡易に災害廃棄物予測が可能となるデータベースやソフトの構築ができると、自治体の方も取り組みやすいと思っています。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 廃棄物とは関連しませんが、この夏、3月に全線開通した三陸リアス線縦断の旅をしてきました。それが、先日の台風19号による被災で再び分断されてしまいました。地方における災害に対する脆弱性と対策の難しさを痛感しています。

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