関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】岡山朋子(おかやまともこ)

岡山朋子(おかやまともこ)

大正大学 地域創生学部 地域創生学科 教授 (静岡県出身)
(2021/2/26掲載)

岡山 朋子(おかやまともこ)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 2000年9月に愛知県を中心に起こった東海豪雨では、一晩降り続いた大雨によって多くの友人の車や家財がごみになってしまいました。つい昨日の夕方まで使っていた冷蔵庫やエアコンが、朝には捨てざるを得ないごみになった状況を目の当たりにしました。このような突然大量発生する災害ごみをできるだけ減らすには、すなわち発生抑制のためにはどうしたら良いかという視点で、2005年から研究を始めました。

もっとも強く印象に残ったこと

 災害廃棄物は、持ち主が捨てようと思ってごみにしたものではありません。それがある日大量に積まれている光景を見て、なんて悲しいごみなんだろうと思いました。何度見ても、その度に強く印象に残ります。そのなかでも最も強く印象に残っている光景と言えば、やはり東日本大震災です。発災1ヶ月後に被災地に入りましたが、自然の力の巨大さと失われたものの莫大さに愕然としました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は災害時のトイレとし尿処理に重点を置いた研究をしています。災害によって停電・断水している地域でのトイレ問題は深刻です。特に女性が災害トイレ弱者であることについて、今後も警鐘を鳴らしていきたいと思います。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害トイレは、避難所でのトイレの確保と運営、自宅避難用および職場・事業所の携帯トイレ備蓄、仮設トイレのし尿汲取りや使用済み携帯トイレ収集など、行政による公助だけではなく、共助、自助活動の部分が多いと考えています。自分のトイレは自分で確保し、災害時にはどのように使ってどのようにごみに出すべきかという災害トイレ情報を、多くの人と共有したいと思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 新型コロナウィルスの世界的パンデミックのため、気候変動対策がストップしている状況です。しかし、地球温暖化の進行は止まらず、今後もさらに強大な台風の襲来や線状降水帯による豪雨などが頻発するでしょう。今後30年以内の温室効果ガス排出実質ゼロに向けて、私たちは抜本的な物質利用やエネルギーの変更を行う必要があります。さらに、今後30年以内に確実に起こる南海トラフ地震、首都直下地震に覚悟して備えなければなりません。

スマートフォン用ページで見る