関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】安富信(やすとみまこと)

安富信(やすとみまこと)

神戸学院大学 現代社会学部 社会防災学科 教授 (兵庫県出身)
(2021/6/30掲載)

安富 信(やすとみまこと)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物に関わったきっかけは、高校時代の同級生で、災害廃棄物学会の権威、酒井伸一・前京都大学工学部教授(現京都高度技術研究所副所長)から、5年前に環境省の災害廃棄物検討委員会に誘われたことです。読売新聞大阪本社社会部時代に阪神・淡路大震災に遭遇して以来ずっと災害報道に携わり、2005年には神戸市にある「人と防災未来センター」に1年間出向して災害情報・災害報道を研究し、2014年から神戸学院大学現代社会学部社会防災学科で教鞭を執っていますが、災害廃棄物には全くの素人でした。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 ここ数年頻発している各地の豪雨水害で、被災地のボランティアに学生たちと一緒に行くようになり、災害廃棄物の実態を目の当たりにしてきました。その体験と新聞社での経歴を生かして、地域間協調ワーキンググループでは積極的に発言、提言させてもらっています。その中で、痛感していることは、災害廃棄物の処理に関し、各都道府県、各基礎自治体の中での災害対応においては、非常にその重要性が理解されていない。つまり、災害対策本部会議などにおいて、どうしても災害廃棄物の処理問題が後回しにされているということです。また、その流れもあってか、報道関係者への情報発信もあまり上手くいっていない。すなわち、水害が発生した数日後には、テレビや新聞で、「水害によるごみが、街のあちこちでうず高く積まれています。悪臭を放っています」といった報道がなされて、「叩かれる」という実態です。ボランティアの人たちの手もあまり上手に活用できていないというのもあります。
  そこで、提言しているのが、

  1. 災害廃棄物処理の問題を災対本部の中で地位を上げる
  2. マスコミに先手を打って災害廃棄物処理の重要性を説き、廃棄物処理が上手くいくように報道してもらう
  3. そうした上手くいっている事例をグッドプラクティス、悪い事例をバッドプラクティスとして集めて自治体向けの冊子を作る

――の3点です。
 今年2月の初めの3日間、山陰地方の廃棄物処理会議に出席して、現場で対応されている自治体職員の方々の生の声を聞くことが出来ました。非常に有意義な時間でした。やはり、災害対応は、現場を訪れ、現場の話を聞く、という大切なことを改めて思い出しました。ありがとうございました。

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