遠藤守也(えんどうもりや)
仙台市環境局 次長 (宮城県出身)
(2018/2/16掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
本市では、約30年周期で発生する宮城県沖地震に備え、震災廃棄物等対策実施要領を策定し、震災廃棄物の処理方針や仮置き場のリスト化、環境局内の役割分担などを定めていました。東日本大震災当時、私は市民広報担当でありましたが、実施要領の想定を超える災害であったため、市民広報に加え震災廃棄物処理全体のスキーム作りから処理実施にわたり担当することとなりました。
もっとも強く印象に残ったこと
東日本大震災による、震災廃棄物の量は膨大なものでした。特に津波堆積物は、がれきと同じくらい発生し、その処理は全く考えていませんでした。
処理にあたっては、他都市からの支援をはじめ、これまで繋がりがなかった業界、有識者など、産官学が一体となって対応したことが印象に残っています。
また、今後の大規模災害に備え、震災廃棄物処理の記録化や法改正スキーム、人材育成など環境省の委員会などに参画することができ、多くの方々と交流することができました。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
現在も環境局に在籍し、局内の技術の承継や自治体や関連業界からの要請を受け、東日本大震災の取組状況や災害廃棄物処理のノウハウなどの講演等を行っております。
東日本大震災以降、関東・東北豪雨や熊本地震、九州北部豪雨など様々な災害が発生しておりますが、どのような災害であれ、処理にあたっては、事前の備えが重要です。今後とも、何をどのように備えていくかなど本市の経験を踏まえて呼びかけていきたいと思います。
災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報
地震や豪雨など多様な災害廃棄物処理に実際携わった方々と最新の処理技術やノウハウ、苦労された事項などの情報共有の場があれば、人材育成につながると思います。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
災害発生後、市町村には通常ごみ、し尿の処理復旧、片づけごみの保管・処理、がれきの撤去・処理という3つの動きがあります。
災害廃棄物の処理は市町村が自ら実施するのか、県や国に事務委託するか、その対応は分かれますが、通常ごみの処理復旧と片づけごみの保管などは翌日からの対応が必要であり、初動対応(発災後1ヶ月)は、すべての市町村が自ら行わなければなりません。
このため、一部事務組合、関係業界との連携、職員や資材の受援体制の確立、仮置き場のリスト化などについて、通常時からの備えをしっかり行っていくことがとても大切です。
事前の備えがないことが被害の拡大につながります。