関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】茶山修一(ちゃやましゅういち)

茶山修一(ちゃやましゅういち)

環境省 東北地方環境事務所 災害廃棄物対策専門官 (横浜市資源循環局から派遣) (広島県出身)
(2018/4/13掲載)

茶山 修一(ちゃやましゅういち)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年3月当時、私は横浜市資源循環局の厚生係長をしておりました。これから各収集事務所の所長が集まる会議が開かれる、という時、東北地方太平洋沖地震が発生しました。
 直後の支援物資の仕分応援、仙台市宮城野区での家屋調査に従事した後、地方自治法による併任派遣の形で、宮城県多賀城市に災害廃棄物担当として1年8か月間派遣され、この時災害廃棄物に関わるようになりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 多賀城市に着任したのは発災から4か月余り経過した8月1日でした。
 仮置場には膨大ながれき類がうず高く積みあがっている一方、まだあちこちに津波で漂着した自動車や建物の残骸、津波堆積物などがあり、これをどのようにすればよいのか、いったいどのくらいの予算を要するのか、そもそも本当に3年で終わるのか、不安に思いました。
 そのような中にあっても地元の職員、そして地元の事業者が官民それぞれの立場でひるむことなく業務を遂行していたこと、そして国内はもとより海外からも多くの支援が続いていることが強く印象に残りました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成25年4月多賀城市から横浜市に帰任、家庭ごみ関係を所掌しておりました。そして平成28年4月に環境省(東北地方環境事務所)に災害廃棄物対策専門官として派遣されましたが、着任から2週間で熊本地震が発生、すぐさま九州に向かうこととなりました。
 その後岩手県における台風10号災害、九州北部豪雨、秋田県の水害など、災害の都度、現地に向かい、処理方法のほか事務面のご案内などをさせていただいております。
 また、これまで災害廃棄物の仮置場のレイアウトや処理方法などの手引きはありましたが、補助金をはじめとした災害廃棄物に係る行政事務に関連した手引きはほとんどなかったことから、そのための手引き(*)を作成しました。今後はその内容を掘下げて充実させるとともに、人材育成を切れ目なく実施できる仕組みを作っていきたいと考えております。

*市町村向け災害廃棄物処理行政事務の手引き【PDF】

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 どのような業務でもいえると思いますが、地域特性に応じた特徴的な部分と、全国的に当てはまる最大公約数的な部分の両方があると思います。実際に、東日本大震災の時の実績値とは明らかに異なることが熊本地震では散見されました。
 現在はまだ過去のデータから推計するしかなく、何が共通化でき、何が地域特性で考えるべきか、そこまでの分析ができるだけのデータが積み上がっていません。
 これまでの処理実績データを見直し、その分析を通じて共通項と地域別に考える項目の区分けができれば、と考えております。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 どれだけひどい災害であっても、発災からの少なくとも一か月間は、それぞれの市町村が自力で廃棄物に対応しなければなりません。特にし尿と生活ごみ・避難所ごみは待ったなしですし、水害の場合には水が引くとたちまち片付けごみがこれに加わります。
 平時には収集運搬を委託し、一部事務組合に処分を任せているところも少なくないと思いますが、いざという時、誰とどのように連携をとるべきなのか、また行政組織としては内部をどのように動かすのか、しっかり考え、実際に訓練などを行うことが必要だと思います。
 また、連携すべき相手方や近隣自治体と、お互いに顔の見える関係を構築・維持することも重要なことと思っております。

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