阿波正治(あなみまさはる)
東峰村 総務課兼住民税務課 係長 (福岡県出身)
(2018/8/31掲載)
災害廃棄物に関わったきっかけ
平成29年7月5日に発生した九州北部豪雨で暗中模索の状態での災害廃棄物との関わりでした。当日午前中に台風3号が無事通過し、島根県において確認された線状降水帯という聞きなれない言葉を正午のニュースで耳にしたことはありましたが当事者意識も薄く午後から業務を遂行している状況で、その矢先に未曾有の事態となったのは周知のとおりです。
もっとも強く印象に残ったこと
発災後、電気・携帯・電話回線などのライフラインが遮断され、当時「廃棄物」に関する知識や経験も皆無に等しい状態であり、今後発生するであろう「災害廃棄物」を“いつまでに”“どのように”処理していくのかといった不安が脳裏を過ぎりました。
そのような中において地域コミュニティの重要性や関係団体との関わり合いを再認識させられたところです。仮置場においては自治体職員の数が限られ苦慮している最中、地域住民や地元消防団員の皆様に自主的に受付などの運営を担っていただいた場面があり、小さな自治体ならではの強固な絆をより一層感じた出来事です。
現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと
全国的に数少ない小規模自治体で、災害等廃棄物処理業務は平時・災害時に関わらず、基本的に担当者1名で対応しており、災害時の業務継続の観点(視点)から考察した結果、職員の少ない自治体であっても通常時より職員間における災害廃棄物処理業務の情報共有が必要であり、共有することによって災害時に迅速に対処できる体制を構築することで、危機的状況を回避する体制づくりに努力を傾注したいと考えています。
災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報
災害数日前に県で開催された災害廃棄物研修会での国立環境研究所の宗氏のご講演内容について、幸か不幸か暇もなく実践する機会が訪れ、D.Waste‐Net担当として来村いただくという運命的な巡り会わせを感じました。
「想定外はない!有備無患」万人の知るところの言葉ですが、国・県及び関係機関においては実践的な研修会及び想定される事象の検証や情報提供を今以上に提供いただければ幸いです。
その他、災害廃棄物対策に関する思いなど
「生活を支えていたものが災害ごみとなる」ということを痛感したことです。時間や住民からの要望は待ったなしです。日々刻々と状況は進行形で推移していく中で国や県及び他自治体からのプッシュ型派遣や関係機関からの迅速な情報提供の重要性を感じたところです。
全国的には「高齢化と少子化」「都市と地方」の2極化のなかで災害廃棄物対策に取り組む課題は違ってくると感じます。あわせて災害の広域化による処理の困難さも今後の重点課題として顕在化することから、地域がいつでも連携できる仕組みづくり、並びに災害廃棄物に携わる人材の裾野の広がりが必要不可欠ではないでしょうか。いずれにしましても常日頃より「災害への備えや対策を怠らない」との戒めの日々を送っております。