関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】佐山雅史(さやままさし)

佐山雅史(さやままさし)

山元町 東部地区基盤整備推進室 班長 (宮城県より出向中)(宮城県出身)
(2019/2/28掲載)

佐山 雅史(さやままさし)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 私は宮城県の職員として平成4年4月に採用され、主に農業土木(土地改良)を専門とする農林水産部の職員として勤務してきましたが、平成22年4月より、部局間の人事交流として、環境生活部の資源循環推進課(産業廃棄物の3Rを推進する部署)に勤務しておりました。
 そうした中、平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、県全域が未曾有の被害に見舞われた際、環境生活部に在籍する土木系の職員として災害対応に係わったのがきっかけです。

もっとも強く印象に残ったこと

 東日本大震災が想像を絶する被害をもたらした災害であったことから、正直、全ての光景が印象に残っているところですが、災害廃棄物処理に限ってのみ上げるとするならば、やはり、御支援いただいた方々の人間性ではないでしょうか。
 災害廃棄物処理を県が受託すると決定した後、私は主に石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)の災害廃棄物処理を担当しておりましたが、石巻ブロック内だけでは処理仕切れない災害廃棄物が多々発生し、まさに「万策尽きる」という状態の中、環境省からの呼びかけもあって、県内のみならず、全国の自治体や民間の方々から多大なる御支援をいただきました。
 特に、自治体の担当者様におかれましては、自ら被災現場や処理施設に足を運んでいただき、被災地(被災者)目線で対応や対策を考えていただいたことに加え、組織内部や地元調整等で大変な御苦労をなさっていたにも関わらず、そういった仕草は一切見せずに石巻ブロックの災害廃棄物処理に全力で取り組んでいただいた姿は、決して忘れることができません。
 そのためか、私自身は「支援していただいた」というより、「災害廃棄物を一緒に処理していただいた」という印象が強く残っています。
 宮城県の災害廃棄物処理に関わっていただいた全ての皆様方、本当にありがとうございました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は県の最南端に位置する山元町に出向し、被災した農地の復旧・復興に関する仕事に携わっているため、災害廃棄物の処理に直接関わる機会は少なくなりましたが、平成28年に発生した熊本地震や平成30年7月豪雨の際には、微力ながらお手伝いをさせていただきました。(役に立ったかどうか解りませんが・・・)
 自分は根っからの現場の人間なので、処理施設用地の造成、施設建設、処理工程等、現場サイドで必要とされる情報については、経験を交えどんどん発信していきたいと考えておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸です。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物を適正かつ迅速に処理するためのマニュアル(指針)については、自治体毎に整備が進められていることと思いますが、実際に災害廃棄物の処理を計画する担当者としては、そうした処理マニュアル(指針)のほかに、「成功談(これをやって良かった!)」や「失敗談(こうしておけば良かった!)」といった「生の声」がより実践で役に立つと思いますので、是非、そういった情報を共有できる体制を整備したら良いのではないかと思います。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物処理に携わって強く感じたこと(実感したこと)は、効率的かつ適正に処理を進めるためには「総合力」が必要だということです。
 災害廃棄物処理に携わる行政職員は、大きく分けて事務系と技術系に分けられ、技術系はさらに土木系と環境系に分けられると思いますが、事務系と技術系(土木、環境)が一体となり、それぞれが得意分野のスキルを発揮しつつも、足りない部分を補い合って進めていくことが重要になります。(どれか一つも欠けてはならないと思います)
 自治体は行政サービスの面から縦割り組織が一般的ですが、いつ発生するか解らない災害に備え、縦割り組織の壁を越えなければならない時が必ずあると思いますので、「総合力を養う」という意味でも、横の連携を意識した人材育成を行ってほしいと考えております。

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