関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】渡邊高之(わたなべたかゆき)

渡邊高之(わたなべたかゆき)

常総市産業振興部生活環境課 課長補佐 (茨城県出身)
(2019/6/28掲載)

渡邊 高之(わたなべたかゆき)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 茨城県常総市は、平成27年9月関東・東北豪雨により一級河川鬼怒川(きぬがわ)が氾濫し、市の3分の1が泥水に浸かる大規模な浸水被害に見舞われました。水が引き始めた直後から大量の片づけごみが発生し、担当課だけでは対応できず、処理のための庁内特命組織「災害廃棄物処理プロジェクトチーム」が編成されることになり、会計課長補佐だった私に突然辞令が発令されたのです。私の自宅も浸水し、泥だらけの家財を何度も仮置場に運び込んでいました。

もっとも強く印象に残ったこと

 廃棄物に関する知識がないなか、どうにか処理を前進させようともがいていたある日、市民の方から言われた言葉が強く印象に残っています。
 「俺たちが出しているのはごみじゃねえ(ない)。さっきまで家にあった家財で財産だ。たまたま泥水かぶったから、しょうがねえから捨てるしかない。おまえらそれを分かってやってんのか(やっているのか)。」
 自分も被災者でありながら、原点を忘れていたことに気づかされ、心が震えました。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 発災から1年後、復興祈念式典が開催されました。来賓である国土交通大臣をとり囲んだ報道記者が大臣に質問しました。
 「大臣、過去の災害の教訓が今回の災害でどのように活かされたとお考えでしょうか。」
 直近で聞いていた私は、はっとしました。そうだ、自分たちの使命はこれだ。次の被災地につなぐことだ。多くの課題や教訓を平時の備えとして引き継ぐことだと。
 その後現在まで多くの災害が発生しましたが、被災自治体の皆様を現地で支援させていただく活動を続けました。同じ自治体の目線で支援することが被災自治体にとって非常に有効です。全体としてのその仕組みづくりが必要だと感じます。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 この業務の最も重要な部分は、分別だと考えています。例えば発災当初の仮置場において、市民からの非常に強い搬入圧力を受けながら、片づけごみを分別配置するには、どのように対応すれば実現できるのでしょうか。事前に何を準備し、どのくらいの人数で人をどのように配置し、どのような手順で、どう行動すればよいのか。特に職員数が少ない場合など、実践に直結する具体的手法の開発が必要と考えます。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 災害廃棄物処理は多くの関係者との協働作業であることを実感しました。平時における人と人とのつながりが、日本全体としての対策強化につながると確信しています。

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