関係者とつながるリレー寄稿Stakeholders network 人と人、組織と組織のつながりで災害廃棄物の対策・処理を進める

【リレー寄稿】河原隆(かわはらたかし)

河原隆(かわはらたかし)

総社市 選挙管理委員会 事務局長 (岡山県出身)
(2020/10/30掲載)

河原 隆(かわはらたかし)

災害廃棄物に関わったきっかけ

 人事異動により平成29年4月、総社市環境課長兼総社市一般廃棄物最終処分場長と、総社広域環境施設組合事務局次長兼吉備路クリーンセンター長を拝命しました。想定外の異動でした。平成30年度は「災害廃棄物処理計画」の策定を掲げていたところへ平成30年7月豪雨により発災。災害廃棄物の処理をはじめ、関係自治体や関係団体との調整、災害報告書の作成や補助金の申請など災害廃棄物業務全般に関わりました。

もっとも強く印象に残ったこと

 市内の団体をはじめ、関係する自治体、ボランティアの皆さんなどのご協力やご支援のおかげで災害廃棄物の処理ができたことです。猛暑のなかで始まった処理でしたが、さまざまな力が集まり融合したことで乗り越えられたのだと思っています。
 また、仮置場や一次仮置場に出された片付けごみのなかにはついこの間まで家族団らんのなかで使われていた情景が目に浮かぶようなものも数多くあり、つらい気持ちになったことを記憶しています。今回、災害廃棄物の処理工程で見つけることのできた写真やアルバムなどの思い出の品を持ち主に返還する取り組みが行われました。多くはないと思いますが、少しでも持ち主のもとに戻ったことはよかったと思っています。

現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 環境課から選挙管理委員会事務局に平成31年4月に異動しましたが、災害廃棄物処理の経験をお話しする機会を数回いただきました。上手ではありませんが、経験したことをお話しすることはできます。そうした機会のなかで当市の対応に対し客観的視点からの情報をいただいたこともありました。他の実例を知り比較することで何かを見いだし、それを伝え残すことができればと思っています。伝え残すという意味で今、令和2年度中の発行を目指す『平成30年7月豪雨に伴う災害廃棄物処理の記録』の編さん中です。

災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 あのときを振り返ると、初動時に仮置場の運営や被災者や復旧に関わる業者からの問い合わせの対応など先の見えないなかで苦労しました。対応を記した資料はありましたが、やはり同じ事務所にいていただき助言をいただいたり相談できたりする人的支援は有益だと思っています。同じ浸水被害でも状況は一律ではないですが、共通する部分はあると思いますので、その方からの情報は万一の際に被災自治体にとっては拠りどころになるものと思われます。

その他、災害廃棄物対策に関する思いなど

 一次仮置場を倉敷市と総社市の共同運営で吉備路クリーンセンター(ごみ処理施設)に開設したことからはじまり、二次仮置場は倉敷市と総社市、矢掛町の2市1町での設置、これに岡山県への事務委託、公費解体の制度設計と実施など、県や市町、関係団体と連携し災害廃棄物の処理を行いました。このつながりは心強いものでありました。共通の処理を経験したことで事後の検証で得られるものも大きいと思います。
 災害廃棄物の処理については、被災した自治体の地形をはじめ、市役所・役場の残存能力、発災後の天候、被災を免れて残っている機能(ごみ収集やごみ処理施設、建設重機、運搬車両など)、道路や橋の被災、仮置場となる土地など同じ条件ではありません。混乱している時期に仮置場の管理運営をはじめ、処理工程の決定、災害報告書の作成と補助金のことなど、被災者に寄り添いながら対応することはたいへんです。豪雨災害が頻発するような今の気象状況から、被災した自治体が参考にできる災害廃棄物処理のノウハウ情報を整理したものを整備してはと考えます。

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